出版社内容情報
もう二度と SNSができない身体にしてほしい。承認欲求を巡る新たな傑作。フォロワー獲得に死力を尽くすミクルは思う。「何故この世界は自分にフォロワーが増えないように作られているのだろう」。自撮りを繰り返すとイソギンチャクになる顔面。オート化された無人回転寿司。まさかのフォロワー爆増――狂った現象が次々とミクルを襲う、地獄展開に抱腹絶倒、気分は爽快。約十年ぶり、待望の長編!
内容説明
自意識と承認欲求から生まれた私達の姿をあぶり出す、地獄展開に気分は爽快。毎夜、フォロワーが欲しくてベッドで震えているミクルは、その数を増やそうと常に死力を尽くしている。老舗喫茶店でなりふり構わず自撮り、他人の投稿をパクって炎上、原宿系インフルエンサーからのフォローバックの提案…。何もかもうまくいかず七転八倒し、あらゆる希望が根絶やしになった時、ついに訪れた、バズりの先に見えた真実とは。
著者等紹介
本谷有希子[モトヤユキコ]
1979年、石川県生れ。2000年「劇団、本谷有希子」を旗揚げ。07年『遭難、』で鶴屋南北戯曲賞を最年少で受賞。09年『幸せ最高ありがとうマジで!』で岸田國士戯曲賞を受賞。2002年より小説家としても活動。11年『ぬるい毒』で野間文芸新人賞、13年『嵐のピクニック』で大江健三郎賞、14年『自分を好きになる方法』で三島賞、16年『異類婚姻譚』で芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケンイチミズバ
108
世界は承認欲求で出来ている。フォロワー数は人の価値を表す。「誰か私をSNSのできない体にしてください。」私はスマホを回転ずしのレーンに流した。私を理解してくれそうな彼は典型的なスタバの人。でも忍耐の限界はある。スタバな笑顔は消え、もういいですか。と逃げた。SNSに動画を上げ、コメントし、フォロワー数を気にし、一時もスマホから手が離せない。彼女たちはこれが日常生活なのでいわゆる日常生活に支障をきたすことがないのだろうかとの心配は無意味だ。真の理解者によって行われた処刑、フォロワーを失う行為も終わってみれば。2025/01/10
☆よいこ
90
自意識と承認欲求の妖怪がフォロワーを求めて足掻く。親の金で不自由なく暮らしつつ満たされない満たされないとマウントを取り続ける話。イソギンチャクの顔でパンケーキをインスタにあげる。テンプレ謝罪でアメーバに落ちる。人の炎上動画でフォロワーを得てみる。SNS承認は欲しいのにリアル関係はウザイ▽ザ芥川賞作家。表紙に惹かれて読んだけど私には合わないかな。胸焼けする。2024.12刊2025/02/01
竹園和明
51
シニカルな毒で手足が痺れそう笑。主人公ミクルはSNSのフォロワー獲得を至上の命題として生きる人。彼女を主人公にした連作短編。他者をこき下ろすが承認欲求は異常に高い“SNS命”の典型のような彼女。だが意外に冷静な自己分析で、徐々に今までの自分に嫌気が差して来る。朋友ソラちゃんとの「都内映えスポットで映えスイーツ食べまくり動画撮影」では、能天気に仕切るソラちゃんに困惑しながら付き合うミクルの姿がイタいを通り越して気の毒ですらある笑。自意識と承認欲求に毒された女子の末路とは。ブラック感満載の怪作です!2025/01/01
PEN-F
45
ブラックユーモアのセンスがさすがです。つくづく承認欲求って厄介な代物だなぁって思います。そんな厄介な代物を自虐的且つブラックなユーモアも交えてぶった斬る!本谷さんらしくてすごく良かったです。2025/02/03
ヒデミン@もも
41
なかなか辛い読書となった。承認欲求って難しい。共感とかしてもらえると確かに嬉しいが、この主人公はフォロワーを求めてるだけのようにみえる。ただ、そこから追い込まれていく姿は、さすが芥川賞作家。2025/02/26