出版社内容情報
この町はどこかおかしい――。母の故郷に引越してきた姉と弟が、封印された怪事件とタマナヒメ伝説の謎に迫る。2年ぶり待望の新作。
青春の痛ましさを描いた名作『ボトルネック』の感動ふたたび! この町はどこかおかしい。父が失踪し、母の故郷に引越してきた姉ハルカと弟サトル。弟は急に予知能力を発揮し始め、姉は「タマナヒメ」なる伝説上の女が、この町に実在することを知る――。血の繋がらない姉と弟が、ほろ苦い家族の過去を乗り越えて田舎町のミステリーに迫る。著者2年ぶりとなる待望の長編登場。
内容説明
父が失踪し、母の故郷に引越してきた姉ハルカと弟サトル。弟は急に予知能力を発揮し始め、姉は「タマナヒメ」なる伝説上の女が、この町に実在することを知る―。血の繋がらない姉と弟が、ほろ苦い家族の過去を乗り越えて地方都市のミステリーに迫る。
著者等紹介
米澤穂信[ヨネザワホノブ]
1978年岐阜県生まれ。2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞奨励賞(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。独自の視点で「青春」を描き、かつミステリーとしての構築度も高い作品をコンスタントに発表している。2011年、『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hiro
275
米澤さんの作品は今まで「古典部」、「小市民」シリーズと「Story Seller1~3」の短編3作品を読んでいる。この作品は、単純に「Story Seller2」 の短編「リカーシブル――リブート」を膨らまし長編化した作品と思い読み始めたが、越方ハルカが越野ハルカ、逆巻町が坂牧市と微妙に名前も違っていて、短編とは雰囲気が違った。短編は題名のとおり血の繋がらない母子の‘再起動’の物語だと思っていたが、一方長編はミステリ色が前面に出た作品だった。私も米澤さんがブログに書いているように、ハルカの幸せを切に願う。2013/05/22
ダイ@2019.11.2~一時休止
271
最後には伏線が一気に回収されてなるほどと思いますが、この後どうなったのと思わせる終わり方でチョットもやっとする。2014/05/28
sk4
261
文庫版『ボトルネック』を思い出させる装丁と、物語前半にこれでもかと重ねられてる【バタフライ効果】の伏線。 おい! 騙したな!ヨネポ!(笑) なんかすごい、なんというか・・・いい話じゃねえか。 米澤さんの作品の中では、最も読後感が良いのではないだろうか? そう思う。 STORY SELLER 2のあの細切れじゃ、わかんないよな〜!2013/04/21
文庫フリーク@灯れ松明の火
233
表紙と見返しのリカーシブの説明‐(形容詞)再帰的な。自分自身に戻って来るような。プログラミング言語においては、処理中に自らを呼び出すような処理をいう‐に『ボトルネック』が浮かぶ。読了してみれば、ボトルネックほど残酷ではない。アンソロジー『ストーリーセラー2』で読んだ「リカーシブル‐リブート」私には、スクーターのナンバーの謎解きが記憶に残った物語が、こんなストーリーに変容したことに驚き。途中のタマナヒメ信仰や姥皮の民話に、北森鴻さんの民俗学ミステリーが浮かんでしまう。物語とは別にP201「悉皆 左入ル」→2013/03/28
みっちゃん
192
継母に気を遣い、周りから浮かないように警戒しながら戻らぬ父を想うハルカが痛々しかったです。「タマナヒメ」「水野報告」「報橋」等の奇妙なキーワードが出てからは、不穏な空気にドキドキしながら頁を捲りました。終盤、謎は一応、合理的に解決されますが、なお不思議な事は敢えて残されたままです。前途多難な先行に立ち向かおうとするハルカには救われますが、まだ心がざわざわしています。2013/03/27