出版社内容情報
日本が誇る世界的作家は、卓越した写真家でもあった。初の本格的写真集。『箱男』『砂の女』『燃えつきた地図』……今なお読まれ続ける多くの先駆的・前衛的作品を書き遺した作家。その傍らにはいつもカメラがあった。小説に取り入れられたカットをはじめ、都市に生きる孤独や不安を撮った多くの作品群から厳選、現代写真家としての足跡を明らかにする、ファン必携の写真集。生誕100年記念出版。
内容説明
日本が誇る世界的作家は、カメラという「箱」の中から何を見ていたのか。現代写真家としての足跡を明らかにする初の本格的作品集。生誕100年記念出版
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
69
昨年、神奈川近代文学館「安部公房展」で安部公房が使っていたカメラや撮影した写真を見た。図書館にこの写真集があるのを知り予約。これが安部公房の視線だ。新潮文庫の表紙カバーに使われた写真も多い。都会の吹き溜まりや心の狭間、決して美しくはないが惹きつけられる。モノクロームのドラマ。写真も安部公房の大きな表現だったんだ。2025/02/22
燃えつきた棒
33
とうとう買ってしまった。 ファンてふものの悲しさよ。/ 「自転車を押すホームレス」: 本書のタイトルを一瞬取り違えた。 「箱男写真集」と。 それほどまでに「箱男」風の写真が多い。 その代表がこの写真だ。 ホームレスが所帯道具一式を積み込んだ自転車を押している。 たぶん、箱を被っていない箱男もいるに違いない。 彼らの匿名性や風景への擬態は、箱男に固有のものだ。 男の顔は陰になっていて見えない。 低く背を屈めて自転車に寄り添う姿は、まるで自転車の影になろうとしているかのようだ。/2024/08/28
モトラッド@積本消化中
32
★★★★★写真集なので、ネタバレも有り得ないし、読んだ本、と言うのも当たらない。安部公房氏の写真が、“都市の欲望を撮る写真家”=森山大道氏のそれと共通点があるように見えるのは、私の軽薄な考えだろうか。頁を繰ると、箱男に別丁で掲載された物とか、主に文庫本の表紙になった物とかで、はっとして手が止まる。どの写真も、いつまでも見入って(魅入って)いたい物ばかりである。巻末に、編・デザインご担当の近藤一弥氏が『カメラ=イメージを発見する方法』と言う一文を寄せているが、これを読めるだけでも、本書を入手した価値あり。2024/11/16
mstr_kk
9
大枚はたいて買いましたが、大半(もしかしたら全部?)が見おぼえある写真、というか持ってる写真。安部公房の遺した写真が1万点あるなら、もっと見たことないやつを出してほしかったというのが正直な気持ちです。マニアでない人をターゲットにしているなら、値段が高すぎる。この写真集はせめて5000円くらいで普及版にして、初出し写真いっぱいのやつを25000円くらいで出したら、みんなハッピーだったのでは……?2024/08/12
Kiki
3
芸術新潮3月号の安部公房特集で載っていた写真と被りが多い。新潮社さんのどケチ!という思いと、化粧箱入りの落ち着いた暗いトーンの装丁で出してくれてありがとう、という気持ちが入り乱れる。でもやっぱりネガ放出してください!2024/08/27
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