新潮ｏｈ！文庫 連続殺人鬼大久保清の犯罪

筑波 昭【著】

新潮社（2002/07発売）

• サイズ 文庫判／ページ数 318p／高さ 15cm
• 商品コード 9784102901649
• NDC分類 368.6
• Cコード C0195

内容説明

誘拐、強姦の上に殺害、土中に埋められた女性は八名にものぼった―。日本犯罪史上に名を残す、連続女性誘拐殺人犯・大久保清。狂気の犯行の全貌とは。

目次

第１部　生い立ち（八幡村のボクちゃん；バッチだから；大それたこと　ほか）
第２部　犯行（初乗り；モデルになってくれませんか；会社勤めのように　ほか）
第３部　追及（民間捜索隊；どうして悪い人間になったのか；父は刑事　ほか）

著者等紹介

筑波昭［ツクバアキラ］
１９２８年、茨城県日立市生れ。日本大学芸術学科中退。新聞記者を経て作家に
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[そうたそ]

★★★★☆　少し古い作品ながらその文章は全く古さを感じさせない良質なノンフィクションだった。若い女性相手に強姦、そして意に従わない相手の殺害を繰り返した大久保清の犯罪を追う作品。性豪の父親と、異常ともいえるほどの愛情を大久保へかけていた母親。特殊な環境のもとで育った大久保は異常なほどの性への欲望を持つ人物であった。常人では理解できないほどの性衝動はやがて彼を殺人へ駆り立てるほどになる。当初は全く口を割らず暴れるほどであった彼の自供を引き出していく警察での取り調べの過程が読み応えあり。

2016/11/21

[Terry Knoll]

知能は普通以下。学習・勤労意欲が低い30代の男。 美術教師だと偽り言葉巧みに女性に声をかけて、欲望は満たす。 「父親や知り合いに検察関係者がいる」と女性から告げられると発覚をおそれ殺害。全部で8人の女性を絞殺等の後埋めた連続殺人事件。 口がうまく取り調べるベテラン刑事を翻弄します。 「あなたは僕のイメージにぴったりです。モデルになってくれませんか？」 女性の自尊心を動かす上手な言葉で誘う犯人は女心をよく知っているようです。

2016/05/16

[Ikuto Nagura]

「学業をきらい、ほとんど考えようとしない。ときどき大それたことをする。早熟なり」「口先がうまく、下級生をだます能力に優れ、級友に信用はない」小中学校とも活動記録に、その後の犯罪の萌芽を明記する。ロシア人クォーターという外見からくる差別、敗戦による価値観の転換、父の性道徳の欠如、母による溺愛など。それらに影響された彼の人格形成は、気付かれながら放置されたのだ。そして二度の性犯罪の前科に対する刑罰の無力さ。この事件は、その後の防犯政策に役立てられたのだろうか。ちなみに同年末から連合赤軍事件、群馬県警も大変だ。

2015/02/11

[かりんとー]

70年代の匂いを感じる事件ですよね。時代を背負った事件て感じがするなあ。あとこの事件は、連続殺人の全ての要素が含まれてる気がする。親の異常、しつけの失敗、遺伝、少年期の犯罪の萌芽などなど。興味深い。 あ、昨日カラオケで「ざんげの値打ちもない」歌ったんですが、そのあとにこの本読んで、犯人が口ずさんでいたとの記述があり、妙なシンクロにゾッとした。

2014/11/09

[きら]

誘拐・強姦・殺害・死体遺棄を繰り返し、最終的に8人もの女性を死に追いやった、日本の近代犯罪史に残る殺人鬼、大久保清に迫ったノンフィクション。 一言で言うと、こいつ性欲強すぎ。しかしまあ、性欲の強い人なんてこの世にごまんといるんだから、一線を超えてしまったことだけが責められて然るべきなのは間違いない。犯罪に走る人間と踏みとどまる人間、その境界はどこで生まれてしまうのだろう。祖母から間違ったベクトルで溺愛されすぎてしまった子が犯罪者に・・・というパターンって多い気がする。津山三十人殺しの都井睦雄とか。

2011/05/07