内容説明
画力もストーリーも抜群な人気マンガ家が、ふと気がつくと姿を消している。その謎を明らかにすべく、日本全国を縦横無尽に取材しまくった人間追跡ルポ。
目次
イノセントとマス・プロダクト 天才マンガ家・ちばあきお
嘆きの天使は永遠に 孤独のマンガ家・山田花子
鴨川つばめラスト・ロング・インタビュー
病める天才劇画家 安部慎一
異色メルヘンマンガ家 中本繁
『幽☆遊☆白書』の終わり方 人気マンガ家・冨樫義博
夢幻の少女マンガ家 内田善美
消えたマンガ家外伝 ねこぢる曼荼羅を探して
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
daiyuuki
23
完璧主義が祟り不眠症になり潰れたちばあきお、生きづらさに喰われた山田花子、ジャンプの専属契約に潰された鴨川つばめ、中でもジャンプ編集部との戦いを赤裸々に書いた富樫義博のパートは漫画界のタブーが描かれ面白かった。2016/04/28
阿部義彦
16
類書多数、取り上げられたマンガ家で読んでたのは鴨川つばめのみでしたが、良くも悪くもジャンプの専属契約で才能をスポイルされた作家は死屍累々。70年から90年位の漫画家の自殺率の高さといったら文学の比じゃないかも?週刊連載は本当に狂気の沙汰!所でこの本を出してた新潮OH!文庫こそ消えましたが、、、2016/10/06
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
14
過酷過ぎる。ジャンプ式の専属契約と人気投票システム、これに精神をやられる人も多そう。相性が良い編集者に当たったらいいけれど、暴言を吐いてマンガ家の精神を削るような編集者に当たったらマンガ家としての寿命だけでなく本当に寿命が縮むだろうな………。2022/12/25
キク
12
ねこじると冨樫が気になって読みました。ねこじるというとても稀有な魂は自殺によって消えた。無邪気な残酷性と、この世界で成り立つのがあまりに困難なナイーブさに溢れた作品を作っていたねこじるに「それでも生きるべきだった」とは、僕には言えない。根本敬が「ねこじるが、この世はもうこの辺でいい、と判断した以上、これはもう認めるしかない」と言っているとおり。冨樫はまだ消えていない。まだ。消えさえしなければ、大人しくハンターの完結をただ祈る。だいたい、あのレベルの作品を、週刊ペースで発表することを望む方がどうかしている。
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
11
鴨川つばめのインタビューがお宝。諸マンガ家さんの病みっぷり、壊れっぷりは見聞きしていたけど想像をうわまわる惨状。ジャンプがきっかけにはなったのだろうけど、物を生み出す人たちを効率化のレールに乗っけ搾取するシステムを作ってしまったのは、著者があとがきで「マンガの問題は世界という場の全体の構造の中で考えなくてはならない」と記しているように、大げさに言うならそれこそ産業革命の時代から拡大路線をつきすすんできた世界がいま行き詰まってることの表れでもあるんだろう。マンガ読むのが愛おしくなりました。こうも身を削ってつ2016/10/13