感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
62
「シルヴイ」は19世紀半ば、希望と幻滅が混じり合う時代の恋を描きながらその手法はリアリズムとは全く異なる。これは回想の中に幾つもの時間が折り重なる夢幻の物語だ。かつて見た高貴なアドリエンヌの面影を、パリで憧れる女優の顔に発見していく。時を隔てた二つの愛に、《沼の蘆の上を逃れゆく鬼火のやうに宿命的な手招き》を見る事によって、愛の純潔性よりも美や芸術に惹かれる心理を痛々しいほど切実に描いている。自然と一体化していく純朴なシルヴイへの恋の背景に、アドリエンヌの籠もる不安な修道院や古城・廃墟を配した効果は絶大だ。2016/05/29
有沢翔治@文芸同人誌配布中
4
ネルヴァルはフランスのロマン主義を代表し、情動などを題材に小説を書いた。理性よりも感情などを重視したのである。例えば「シルヴィ」では過去の恋愛についての追憶などをたどっているが、幻想的に美しく踊を描写した。「シルヴィ」ではまだ描写に留まっていて、現実的な世界であるが、「オクタヴィ」ではファンタジックな出来事が小説の世界で起こっているのである。https://shoji-arisawa.blog.jp/archives/51536589.html2022/09/06
門前照二
2
名作「シルヴイ」他4篇収録。中村真一郎訳。旧仮名、正漢字。詩情あふれる陶酔の世界を描きます。初版は1951年、長い間絶版でしたが新潮文庫復刊フェア第1回の対象商品に選ばれ、再び日の目を見ることになりました。訳者後記は若書きのきらいがあって、なんとなくほほえましい。2010/10/21
mio k
1
歴史的事実と夢のような虚構の物語が混ざり合う。月の光の中で踊り続けるさまはムンクの絵画のように幻想的で少し怖い。2014/12/20
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