内容説明
老人の娘ジナイダの助けを得て、ケルソーはスターリンのノートをついに発見。それはアルハンゲリスクから共産党の命で呼び出され、スターリンの身辺に仕えた少女アンナ・サファノヴァの日記だったが、ページが途中からちぎり取られていた。ケルソーは真相を探るべく、米テレビ局記者のオブライアンとともにアルハンゲリスクを目指す。そこで彼らは恐るべき「亡霊」と出会った…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えみ
15
死んでもなおスターリンの力を感じた。確かにアルハンゲリスクの亡霊が現れ、民衆の前に姿を見せる。その刹那の快楽で己を失い己の罪に散っていく様を想像してしまった。上巻で歴史学者ケルソーはソヴィエト連邦共産党書記長スターリンのノートを発見。下巻ではTV記者オブライアンとノートの内容に関わるアルハンゲリスクへ向かう。そこで目にしたものにケルソー驚愕する。ロシアに興味も知識も無かったけれど、日本では成立しないなかなか難しい展開が逆に面白さを感じた。歴史の闇に翻弄される登場人物達が哀れだったが、各々の信念が光ってた。2019/03/17
うたまる
2
なんと最後まで面白かった!これからどうなるんだろう、という疑問をいっぱい残し終わってしまうが、ミステリ的趣向も西側自由主義陣営のクズっぷりもスターリニズムも堪能したので大満足。断然『チャイルド44』より面白いと思うが全然読まれてないなあ。最後にスターリンの政治手法の精髄について……「スターリンの成功の精髄は実はきわめて単純なものだったんだとケルソーは思った。わずか三つの単語から成る短い文言に要約される洞察的原則を軸としてすべてをつくりあげる。その文言とは”人民は、死を、恐れる”だった」2012/04/30
Artyom2033
1
アルハンゲリスクの亡霊の正体は現実味がない。しかし、歴史上、ロシア人は常に何も持ちえない農奴であり、すべてを所有するツァーリ、党を待ち望んでいるのだという比喩としては秀逸。いまも君臨している暴君こそ、その証拠だ。ジナイダは何だったんだと思ったらば、なるほど。著者の作品は、いずれもラストの塩梅にとてもセンスを感じる。★★★☆☆
きたくり
0
「アークエンジェル」というタイトルでダニエル・クレイグ主演で2005年にドラマ化されてました。このドラマがすごく面白くて(怖くて!)原作本も買ったんでした。2015/10/26
昌子♪♪
0
そっかぁ~!そうなのね!?この手の小説、ヒトラーのもあったよなぁ!?2014/11/25