内容説明
白亜紀、北米ユタ州。一頭の恐竜が悲しみに沈んでいた。彼女は狩りで、つがったばかりの夫を失ったのだ。高度の知能を持ち、体系だった社会生活を営むラプトルたちは、ひとりでは暮せない。自己の遺伝子を残すために、より良い伴侶を捜さなければ…。恐竜は絶滅しなかった、鳥に姿を変えたのだと主張する著者が、最先端の学説と大胆な想像力で再現する、太古のラブストーリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
イプシロン
19
最新の遺伝生物学の視点で読むと、少々古臭さを感じる。が、主人公、ユタラプトルのメス、ラプトル・レッドをはじめ様々な恐竜、はては哺乳類や植物の生殖層までを生き生きと描いている点は十分にわくわくさせられる。著者は恐竜温血説を唱えて学会を震撼させたバッカーだけに、細かい描写に思わず引き込まれる部分もある。処女作に対して小説作法を云々するのはあれだが、シュアアアアアなどといった音の表現が多用されることは個人的に興ざめしたが、古生物が生きた地球を描いた作品は少ないので、そこは目をつぶってもいいのかもしれない。2018/05/21
あかつき号
10
初著者。 登場人物が恐竜であることを忘れるほど、人間的で、ドラマティックで面白かった。夢をみる恐竜、雪を滑って遊ぶ恐竜、進化の最先端の花々。素敵な世界だった。 固い岩盤から浮き出る化石でここまでわかるとは、著者のわくわくさに心が躍る。2016/05/16
カーメンホワット
5
レッドの生き方を書き方がいいのか彼女が愛しい2015/08/15
カーメンホワット
2
恐竜好きになった原点。彼女人称にうっとりしてしまう。何度読んでもうっとり
ナナメ
1
今や懐かしき利己的遺伝子説を交ぜているものの古さを感じさせない太古の世界を十二分に堪能させていただきました。世に数多の生き物がおりますが、古今問わず、それぞれは生きるのに精一杯かつ至福に生きていることを教えられました。私が感じる些細な幸福感は、もしかしたらワニから見たら滑稽な所存なのかもしれません。そら思うと太古の「毛玉」と揶揄された祖先に恥じぬ生き方とは一体どの様なものかと悩みます。2016/04/25