内容説明
愛称ゼーブル(縞馬、おかしな奴)の仕事は公証人。高校の数学の教師のカミーユと結婚して15年、13歳の息子と7歳の娘の父親である。彼は最愛の妻と可愛い子供たちに囲まれて愉快な人生を送ってきた。しかし妻と出会った時のあの愛の刺激を求めていたゼーブルは、愛の倦怠に耐えられなかった。そして、匿名でラヴレターを妻へ送り続けたが。フランスの気鋭が描く永遠の夫の逆転劇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆのん
55
突然の事故で危うく妻を亡くしかけた事をきっかけに妻への恋心が異常なまでに再燃する主人公。あの手この手を使って妻にも燃え上がってもらいたいのだが、妻、母親、教師としての仕事で忙しく疲れている妻は嫌がる。第1章では妻の爪や髪の毛まで集める姿にドン引きするも、2章、3章と読み進めるうちに主人公の妻への愛情に感動を覚え、涙のラストを迎える。読了後に時間をかけて静かに、そして徐々に余韻がやってくる作品。2018/11/02
こばまり
50
なんと美しくも滑稽なラブストーリーなのだろう。思いがけず涙溢れた。この味わい、大人にしか分かるまいと一人悦に入っていたところ、解説で筆者23歳の頃の作と知り慄く。2017/01/31
もりの
9
古本屋にてたまたま購入。結婚生活が長くなったが、恋愛時代と変わらぬ愛を求める夫が試行錯誤してすれ違うお話。「あなたが愛しているのは自分の策略。私たちの愛情なんてどうでもいいもの。」とあるように、一方的な愛されたいという願望はエゴなのかなと考えてしまった…。仲のいい夫婦とは何だろう、どうやったらなれるんだろう。おそらく、相手を尊重し合うことなのかな…?でもそれって価値観の違う人との共同生活で保ち続けるのって、相当なにかを諦めなきゃ難しいよなぁ。2021/04/26
tenchi
1
妻の交通事故を契機に、やがてくる死による別離を恐れるあまり、妻に匿名の恋文を送り続けることによって夫婦の倦怠を脱し、出会いの時のような愛のときめきを非常識なまでに追求した、おかしくも悲しい公証人の物語です。前半は通俗小説のように喜劇的に軽快に展開しますが、主人公のゼーブルが癌におかされるあたりから物語は悲劇へと転調し、満身創痍のゼーブルがなお妻の愛への情熱を勝ち取るため、死神さえ欺かんほど身を呈して画策する、まさに常軌を逸した様は迫力さえ感じました。結婚20数年の私にとっては身につまされる話でした。2012/08/14
samehada13
0
読み終わった日:1996年7月16日