内容説明
俺は二度と日の当たる場所には出られない―押収品のドラッグをくすねて停職になった刑事エイダン・ウェイツ。提示された唯一の選択肢は街に跋扈する麻薬組織への潜入捜査、そしてそこに引きこまれた国会議員の娘の調査だった。危険極まる任務についたウェイツが目にする想像を超えたドラッグ世界の闇、そして警察の腐敗。本当の悪の正体は?心の暗部を抉るように描く驚愕のデビュー作!
著者等紹介
ノックス,ジョセフ[ノックス,ジョセフ] [Knox,Joseph]
英国のストークとマンチェスター周辺で生れ育ち、書店やバーで働く。ロンドンに移って執筆活動を開始し、『堕落刑事』で作家デビュー
池田真紀子[イケダマキコ]
1966年東京生れ。上智大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
327
★★★☆☆ 著者デビュー作。マンチェスターの刑事エイダン•ウェイツを主人公としたシリーズの第一作めでもある。 エイダンの一人称視点で物語は描かれ、自身の信念に従って行動するエイダンのキャラもあってハードボイルド風である。しかし、散々嘘をつきルールを破るエイダンのキャラに刑事という職業が合っておらず、設定は良くないように感じた。 サブキャラはそれなりに良いキャラが多く、特にドラッグクイーンのザ・バグは強烈な印象。女性陣も儚さが魅力のメンバーが揃っているが、サラとキャサリンのキャラは被りすぎだった気がする。2023/03/28
モルク
126
シリーズ第1弾にしてデビュー作。押収品のドラッグをくすねて定職となった刑事エイダン。麻薬組織の潜入捜査、国会議員とその家出した娘、麻薬王ゼイン、その愛人サラ・ジェーン、そして集金係のキャサリンと、気になる人物が次々と絡む。窮地に陥るエイダン。どんどん迷路にはまり抜けられない。最初はなかなか入り込むことが出来ず途中断念か、と思ったが、なんのなんの。また続きが読みたくなる。エイダンは決してカッコいい訳ではないが、そのボロボロになっていく姿にはまっていく。いつの間にかエイダンから目が離せない。2022/04/18
ずっきん
91
何が凄いってタイトルがすごい。文字通り「堕落刑事」の潜入捜査物ではあるが、これじゃ黒川さんとか矢月さんだと思うじゃない。この邦題つけた担当者に是非話を聞きたい(笑) 見事な比喩と情景の描写がマンチェスターの夜を切り取り、空気が肌にまとわりつくようだ。ただ、いかんせん人物が弱い。登場のさせかたもいまひとつでもったいない。わざと画を出さない引っ張りかたが上手くて一気読みしてしまったが、臨場感に乏しい。どうしても最近読んだ「ザ・ボーダー」のシレロと比べてしまう。こきおろしてるみたいだけど、続編は読んじゃうよ♪2019/10/26
オーウェン
80
刑事エイダン・ウェイツシリーズ第1作。 タイトルにもあるように、堕落刑事としてエイダンは麻薬組織に潜入する。 もちろんこれには理由があるのだが、愛した女性や、強烈な効果をもたらすドラッグ。そして腐敗した警察組織。 清廉潔白の善人などほとんど出てこない世界。 味方も敵も汚職に塗れたような人物ばかり。 登場人物表にもヒントがあるとは意外だし、行きつく先はどこにあるのか。 全3部作なのでエイダンの刑事物語を順番に読んでいきたい。2022/01/23
くたくた
78
タイトルで損してないか?と思ったこの本。エイダンは全然堕落していなかった。いい奴だった。ただ、哀れなのだ。損に生まれついた者は一生損する見本のような。その必死さ一生懸命さが割に合わない仕打ち、善悪や人それぞれの思惑が入り乱れ境界を失い、暴力的な混沌となり街を覆う濃密な展開で、途中からはもう、エイダンをただただ追いかけて行くのみになる。他人を信用できない性の彼ではあるが、感情も愛情も虐げられたときに感じる痛みも、共感もある。生き別れた妹への思いが、弱い女性達への思いと重なる。切ない。一気読みです。良かった。2022/01/17