新潮文庫<br> ラット・キング

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新潮文庫
ラット・キング

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  • サイズ 文庫判/ページ数 459p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784102394014
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

イタリア有数の富豪ミレッティ誘拐事件を担当するのは、モロ誘拐事件捜査の不正を嗅ぎつけて左遷されたゼン警視。ミレッティ家の長男、次男、その秘書、娘、その夫、末息子と、クセモノぞろいで、各々事件に関与した疑いが濃く、陰湿な足の引っ張りあいのさなか、弁護士が殺害された。もつれた謎を解きほぐすゼンの手腕と人間味を、皮肉で苦味のきいたタッチで綴る傑作犯罪小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

284
イギリス人の著者がイタリアを舞台に書いた警察小説。物語の主な舞台となるのは「イタリアの緑の心臓」ウンブリア州の丘の町ペルージャ。周辺を含めて、明るく風光明媚なウンブリアの感じはよく伝わる。このあたりはイギリス人のいわば憧れの地。ただし、それは風光だけであって、人や組織に対してはきわめて辛辣というか揶揄が基調となっている。富豪の誘拐事件を扱うのだが、そもそも発端は誘拐から4か月半も経っているという悠長さ。しかも派遣されたのは階級こそ警視だが、いわゆる窓際族のゼン。このゼンが人気を博するというのだが…。2017/05/13

ケイ

109
マカロニサスペンス?と思っていたら、作者はイギリス人らしい。イギリス人が描くイタリアが舞台の話を先日も読んだばかり。イタリア人が自虐的に書いているように思えたところも、外国人から見たイタリアのおかしなところだと思えば納得できる。司法の腐敗、官僚との癒着、財閥の甘やかされた跡取りたち。それらが誘拐や殺人の操作を阻むが、思いがけぬものをもたらしたりもする。さらりと楽しめるミステリといった感じ。2016/01/20

セウテス

82
【イタリア警察ゼン警視】シリーズ第1弾。イタリアの大富豪が誘拐され、事件を担当するべくゼン警視が派遣される。誘拐事件そのものよりも、事件により彼の富豪一族に起きる変化、当時のイタリアの政治的内情を描いている。一見警察や刑事を探偵とした謎解きを期待するも、本作はミステリではない。日本で言う「〇〇事件は何故起きたのか」の様な、犯罪に対する思索的アプローチや犯罪者を生んだ社会的問題を考察したりする事に、作品の中心が在ると思われる。どうやら、私が読みたい範囲の作品ではない。何故ガーディアン必読なのか、疑問である。2020/02/23

NAO

50
ペルージアの大富豪誘拐事件を解決すべく、ローマから派遣されたゼン警視の活躍(?)を描いたミステリ。大金持ち一家によくある醜聞、家庭内の権力争い。それが、イタリアだと、周囲のもろもろを巻き込んで、ことさら大袈裟なものになる。だが、この作品の最もイタリアらしいところは、ゼン警視だろう。それほど有能には見えず、そのためか上手く悪用されて大ポカをしでかす。それでもしぶとく粘って、なんと最後にはちゃっかり裏取引までしている。この事件で一番得をしたのは、彼なのではないだろうか。2023/02/24

きのこ

15
ガーディアン必読46/1000 むむ、「血と影」を先読みしたせいかゼンのポジションや恋人との距離感に違和感です。ただ、覚えづらいイタリアンな人名には若干慣れてたかも。どちらかと言えば地味な主人公が地味な捜査の末に地味に事件を解き明かす、全般的に抑えた展開。それでも、キチンと解決して今回は昇進も勝ち取ったので、読後感はいい。次は間をおいて「水都に消ゆ」を読みます。これでガーディアンのマイケル本は最後かな。面白かった。2017/08/15

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