内容説明
シベリアの寒村ツムスクで反体制医学博士サムソノフの娘が、何者かに殺害された。事件調査のために派遣された統制委員のラトキンも、数日後に殺されてしまった。現地に赴いたモスクワ民警の敏腕捜査官ロストニコフと部下のカルポがあらためて事件を洗い直す。住民たった15人の流刑の村で起きた連続殺人の背後に隠されたのは…。’89年度エドガー賞を受賞したポリス・ストーリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
25
ゴルバチョフ時代のソ連を舞台とした警官小説です。シベリアの辺境の地で殺人事件を捜査するロストニコフの活躍を描いた本作品。頁数は多くないのですが、その分、すっきりまとまっています。かの国の内政事情を制約として、思うにまかせない捜査官の苦悩を上手く世界観として取り入れています。謎解きとしても愉しませてくれました。なんといっても、重量挙げを趣味とする主役に加え、幽鬼のような捜査官等、個性的なキャラ設定がキマッています。登場人物それぞれの今後が気になるシリーズです(といっても翻訳は3作だけですが)。【MWA賞】2018/05/16
No Nis
4
軽い気持ちで楽しめる、あっさりとした推理小説もの。随所に出てくるロシアンジョークがぴりりと物語にアクセントを与える。本人達や地の文はいたって真面目なのを含めてのロシアンジョークである。『起こしてはくれなかったんですね?』『ノックはした』―しかしその音は臆病な小鳥も起きないほど小さかった。― 結末のどんでん返し具合は刑事コロンボの「さらば提督」に似ているところがある。規模はこちらのほうが小さいが。シリーズものらしく、面白かったので追っかけてみようと思う。3.3/5.0点2016/09/24
おのうち みん
1
ロストニコフ捜査官シリーズは読んでなかったのだが、ブックオフで見つけたので買い。たしかに87分署っぽい。カミンスキーは毎回キャラ設定がすごくうまいな。無表情で幽霊みたいなカルポ捜査官がなかなかかっこよくて萌えた。カミンスキーは何読んでも面白いし、著者の弱者へのいたわりとか、理不尽な体制への反骨が、ユーモアににじみ出ていて、大好きな作家なのだけどどのシリーズも途中で翻訳止まりやんの。ほんと、日本のミステリー読みの成熟度を疑うのはこうゆう時だよ。2012/02/16
青嵐
1
ロシアを舞台にカミンスキーらしい愛妻家の警官が活躍する渋好みのシリーズ。この人の書くキャラが好き。
kanamori
0
☆☆☆★2013/09/27