内容説明
1958年、4歳の少女ルースは両親の寝室から聞こえてくる奇妙な音に目覚め、母とアルバイトの少年エディの情事を目撃した。死んだ兄たちの写真が貼り巡らされた家。浮気をくり返す絵本作家の父。悲しみに凍りついた母は、息子たちの写真だけをもって姿を消した。この夏の出来事が幼いルースと16歳のエディの心に残したものは…。20世紀アメリカ文学を代表するベストセラー。
著者等紹介
アーヴィング,ジョン[アーヴィング,ジョン][Irving,John]
1942年、ニューハンプシャー州生れ。ニューハンプシャー大学卒。ピッツバーグ大学に通学後、ウィーン大学に留学。帰国後、アイオワ大学創作科でヴォネガットの指導を受けた。’68年『熊を放つ』でデビュー。’78年『ガープの世界』が世界的ベストセラーになり、アメリカの次代を担う作家として注目される
都甲幸治[トコウコウジ]
1969年、福岡生れ。東京大学卒。早稲田大学文学部専任講師
中川千帆[ナカガワチホ]
東京生れ。東京大学総合文化研究科修士課程修了。アリゾナ州立大学英文学科Ph.D.取得
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
田中
22
ユーモラスな語り口で一気に引き込むアーヴィング物語のパワー。ここは常軌を逸した愛があっちこっちで発生する。「テッド」の乱れまくる愛はセックスが趣味のようだ。美貌の妻「マリアン」は亡き息子の面影がある16歳「エディ」と寝る。それは母性愛だった。そのエディはその後ずっと年上の女性に憧憬する愛を抱く。「ルーシー」は、父テッドのように小説家になった。恋人とのセックスや結婚に慎重だ。未成年でも、大人になっても、老いても、そこらじゅうに愛がちらばっている「アーヴィングワールド」。ぶっ飛んだ群像劇を遊覧できます。 2017/12/21
いっちゃん
19
下巻に続く。最後の最後でエディが報われてよかった。目次だけでは展開が読めない。作中にあった、喜劇を書こうとしているのではなく、喜劇になってしまうというのがアービングなんだなぁ。近藤史恵さんがTwitterでこの本を呟いていて読みました。ガープの世界と熊を放つ、ホテルニューハンプシャー、この本が読んだ本。2020/09/19
tom
19
コロナのせいで図書館閉鎖。その前日、図書館に行き、長いお休み期間に何を読もうかと思案して、借り出したのがアーヴィング。アーヴィングさんには、ずいぶんご無沙汰していたものだから、ちょっと懐かしい気分。読み始めて気づいたのだけど、書き方が、なんとなく村上春樹に似ているような感じがする。どこがと聞かれても、説明はできないのだけど。久しぶりに読むアーヴィングは面白い。登場人物が作家、あるいは将来作家になる人達だから、書中に小説論まで出てきて、これも面白い。というところで下巻に。続きを読むのが楽しみ。2020/04/21
みみぽん
15
この風変りなヒューマニズムこそアーヴィング! アメリカ文学では死別の想像を絶する悲しみを悲観だけに捉えず、そのショックから自分が自分でなくなってしまった時期、人と人とのつながりを悲喜こもごも俯瞰して書く作品が多い。「未亡人の一年」もタイトルだけでは到底に計り知れない「生と性」「死と詩」が混合する悲喜劇。双子の息子二人を失った美貌の母親マリアンは子供の面影に似た少年エディと不倫してしまう。その夫であり作家のテッドもハチャメチャな女性好き、一人娘4歳ルースだけが現実の世界を彷徨い成長する。下巻はどうなる? 2024/06/11
meg
8
喜劇。 ヴォガネットの雰囲気がある。 アーヴィングの描写が心地良い。性的な部分も含めて。2023/11/21