• ポイントキャンペーン

新潮文庫
コカイン・ナイト

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 574p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784102271025
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

地中海に面した理想の高級リゾート地でその凶悪事件は起こった。五人が殺され犯人は逮捕。だが、本当に彼の犯行なのか?口をつぐみ、快適この上ない生活を享受する住人たち。エロスと犯罪が見え隠れするこのミステリアスなヴィラで、弟の無実を信じ、調査を始めた旅行作家が見たものとは…。現代イギリス文学界最大・最高の作家が挑む人類の未来、驚愕の結末が待つサスペンス。

著者等紹介

バラード,J.G.[バラード,J.G.][Ballard,J.G.]
1930年上海生れ。’56年デビュー。現代イギリス文学最大の作家。当初は『沈んだ世界』(’62)、『結晶世界』(’66)などの思弁性、文学性の高いSF作品で独自の地位を築き、’70年代には『残虐行為展覧会』(’70)、『クラッシュ』(’73)といった実験的前衛作品を発表、“ニューウェーブ運動”の理論的先導者としてカリスマ的な評価を得た

山田和子[ヤマダカズコ]
1951年北九州市生れ。慶応義塾大学独文科中退。「季刊NW‐SF」の編集長としてバラードの紹介に努めるなど、編集者、翻訳者として活躍
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

69
統制下においた一定数の悪意や犯罪によって人々を活性化させ、生きる目的を見出すことは、今の世界でも行われている。それに対抗する手段は同じ方法でしかない不毛。アンの焼死体が、ロダンの考える人みたいだったという描写は、ドラマ版HANNIBAL的なヴィジュアルの美しさを内包しているようだ。しかし、薬物とテレビによって精神的ゾンビになったリゾート・ヴィラはシヴュラ社会だし、彼らを啓蒙させるために犯罪を引き起こすクロフォードは鹿矛囲の手法を取る槙島じゃん。チャールズはミイラ取りになるし、一番、まともななのはポーラだけ2016/12/04

こばまり

57
例えば暴力や性行為は常態に対する変態と言えるが、それらの欲求が全く無いのもまた異様だと思うのだ。共同体に悪というスパイスは必要か。そもそも何を以ってまともなのか。思い乱れつつ、あれよあれよと物語に魅き込まれた。「ハイ・ライズ」同様、またしても読後うっとりしている自分発見。2018/05/30

momogaga

43
#問題作 長らく積んでいました。年始の力を借りてこの長編を一気に読みました。読了後に新たな価値観を与えてくれました。この小説が描いた犯罪は、まさしく戦争に共通するもの。どちらも傍観者を含めて含めた関係者全員が犯罪責任者。2023/01/15

ざるこ

40
「タイトルに惹かれて」はマズイな。地中海のリゾート地にいる弟が5人焼死の放火事件で有罪であると主張する。真犯人を捜す兄チャールズは異常な街に呑まれていく。脳死状態の街を活気づけるには人間の個人的な脅威が必要、それは犯罪であるという。純然たる異常者のボビーが起こす悪事がなぜ人を闊達にさせるのか。大きな目的の為の犠牲がまたコミュニティの結束を強くする。善悪の境界が曖昧な街。「歴史において宗教の登場は早すぎた」と言うボビーは新世界の宣教師みたいだ。「同時多発テロに対抗する戦争に似ている」という解説が腑に落ちる。2019/06/20

月世界旅行したい

13
作者のブレなさ加減がいつものことながらすごい。2016/05/21

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/557610
  • ご注意事項