内容説明
1996年、月面探険に出かけた「わたし」は、奇妙な光り輝く建造物を発見する。それは悠久の過去に栄えた文明の遺跡か、それとも恒星の彼方から来た何者かの訪問の証か…。映画「2001年宇宙の旅」の原型ともいわれる「前哨」のほか、のちに代表作『幼年期の終り』へと発展する「守護天使」など、英SF界の第一人者クラークが自ら選び、序文と各編ごとの解説を加えた傑作短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
11
1983年に刊行された作者の自選短編集であり、その意図は「はしがき」にある。「わたしたちはあらゆる本を読破できた、最後の世代なのだ。そんな離れわざは、もはや二度とだれにもできないだろう。」この場合「本」とは読むべき古典の本である。作者の時代と違い、現代の出版は古典以外の本を大量に刊行し、読者も新しいものを求めて古典を敬遠するという情報社会の変容を言い表している。そこで、自らの作品で古典と見なされる短編を9つ選んで一冊にまとめたという(最後の短編は映画シナリオ文体に改稿されてある)。各作品に作者解説がつく。2023/10/18
ばにら
1
「救援隊」(→太陽系最後の日)「守護天使」(→幼年期の終わり)「ひずみの限界」「前哨」(本の原題「Sentinel」)ほか、後に作者が増筆出版した短編。ぞれぞれに作者の解題つき。雑誌掲載時のものかな?モノクロイラストが各1枚収録。年代を経ても一枚で感銘を受ける絵。「太陽からの風」の飛行艇の構造は想像しきれなかったので絵で印象が変わった。2020/10/18
1977年から
0
1989年
sanewo
0
昔読んだ1999/01/01
newhavana
0
昭和61年10月初版(1986)の新潮文庫。原本は1983年発表。短編9作品を収録。本編中に白黒イラスト付き。冒頭に全編に関するACクラークによるはしがき、各編冒頭にクラーク本人による解題付きで発表年が長期にわたることによる読者の混乱の助けになっている。最後の遥かなる地球の歌がMike Oldfieldが1994年に発表したThe Songs Of Distant Earthのアイデアになっていることを知り、それほど娯楽性が高くない短編を順に読んでみた。ACの言うファンタジーとSFの違いに強く同意したい。2024/08/27