内容説明
アメリカに生まれた少年・セドリックは、大好きな母や周囲の人々の細やかな愛情に包まれ幸せに暮らしていたが、名も知らぬ貴族の祖父の跡継ぎになるためイギリスへ渡ることとなった。祖父は意地悪で傲慢で、アメリカという国を嫌っていたが、セドリックの純真さに心動かされ、次第に変化していく。だがそこへ真の跡取りを名乗る者が現れて―。川端康成の名訳でよみがえる児童文学の傑作。
著者等紹介
バーネット,フランシス・ホジソン[バーネット,フランシスホジソン] [Burnett,Frances Hodgson]
1849‐1924。英国マンチェスターの富裕な商人の家に生れるが、幼くして父を失い、家族とともに米国に移住。家計を助けるために作家活動を始める。次男をモデルにした『小公子』(1886)、続く『小公女』(1905)で成功をおさめ、『秘密の花園』(’11)で名声を不動のものにする。明治期の日本にも紹介され、現代に至るまで長く読まれている児童文学作家である
川端康成[カワバタヤスナリ]
1899‐1972。大阪生れ。東京帝国大学国文学科卒業。新感覚派作家として独自の文学を貫いた。1968(昭和43)年ノーベル文学賞受賞。’72年4月16日、逗子の仕事部屋で自死(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chimako
102
本当にとても楽しい読書だった。アメリカの子どものために書かれた物語を日本の子どもたちのために翻訳し出版された名作。解説を読むと翻訳は川端康成と文学者であり編集者 野上彰の共訳。それを底本とし易しく書き直された作品ということらしい。この作品が何人もの文学者の頭と手を通り、今ここにあることが素晴らしい。昭和のちょうど半ばに生まれた読者には言葉づかいも出てくる単語も馴染み深く、丁寧語にも敬語にも違和感がない。ありがたい時代に育ったとつくづく思う。下品が売りになる世の中に嫌気がさしている日々の一服の清涼剤。2020/09/02
夜長月🌙@読書会10周年
78
純真無垢なセドリックは頑迷極まりないドリンコート伯爵の心を溶かしていきます。純粋な心を持つだけで何の力もないセドリックですが、伯爵を通して「正義」を為していくことに我々は喜びを感じます。変わっていく伯爵におかしみも感じますが、セドリックに世代が変わるのを待たずして世の中が光にあふれていくのに心安らぐのでした。2020/07/25
榊原 香織
77
なんと翻訳は川端康成 でも後書き見たら、翻訳は大半が編集者だそうで、じゃあ名義貸し? 内容はやはり面白い。落ち込んでる時に読むと明るくなって運気があがるかも2022/09/10
アクビちゃん@新潮部😻
66
【2020新潮文庫100】小公子、実は初読みです(*^^*) アメリカに暮らす、まつ毛が長く茶色の目に柔らかい細い金髪、人懐っこく人を疑う事を知らず純真なセドリック♡ 貴族の跡継ぎとなり大西洋を渡り、イギリスへ。読み勧めるうちに、私もセドリックの事が大好きになり、この先 セドリックに不幸がありませんように!と願うばかりでした。今、子育て中の私は、エロル夫人のように優雅に慈悲深く子育てしよう!と反省。やはり、この時代の読み物は、好き♡とても、良かったので、小公女と秘密の花園も読んでみよう〜❣ 2020/08/24
金吾
60
◎大好きな話です。特に偏屈だった伯爵がセドリックに感化されていく部分が好きです。英米の互いのイメージも面白いです。2023/06/10