内容説明
女学校の寄宿舎に入った7歳の愛くるしいサアラは幸福だった。それが、父のクルウ大尉の突然の死から悲しい出来事ばかり続いて起る。だが彼女はどんなに辛く悲しい目にあっても勇気を失ったり、友人達への愛情を忘れたりはしなかった。逆境にもめげず明るく強く生きる夢みがちな少女サアラ・クルウの生活を、深い愛情をもって描き、全世界の少女に贈る名著である。
著者等紹介
バーネット[バーネット][Burnett,Frances Eliza]
1849‐1924。英国マンチェスターの富裕な商人の家に生れるが、幼くして父を失い、家族とともに米国に移住。家計を助けるために作家活動を始める。次男をモデルにした『小公子』(1886)、続く『小公女』(1905)で成功をおさめ、『秘密の花園』(’09)で名声を不動のものにする。明治期の日本にも紹介され、現代に至るまで長く読まれている児童文学作家である
伊藤整[イトウセイ]
1905(明治38)年、北海道生れ。小樽中、小樽高商を経て東京商大中退。昭和初期より20世紀文学を紹介する気鋭の評論家・作家として活躍。’69年没
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
64
再読。粗末な屋根裏部屋が目覚めると豪奢に変貌している「魔法」の場面は何度読んでもわくわくします。主人公のサアラは我が強いし、読書の邪魔をされて不機嫌になるしと単純な”良い子”ではないのだけれど、豊かな時は勿論、貧しくなってからも「仲良し」たちに自分の想像力を分かち合って彼らの心を「やしない」、自分はそれによって自身の苦しい境遇を乗り越えようとしてゆくのを見ていると、こちらの背筋も伸びるよう。自分が完璧でないことを認め他人への心遣いと自分への矜持を忘れないよう努める彼女の強さと勇敢さにいつも魅了されます。2021/12/15
コニコ@共楽
29
バーネットの「秘密の花園」がとても良かったので、この本を手に取った。訳者が伊藤整になっていて、ちょっと驚いた。奥付を見ると、昭和28年に発行され、手元にある平成21年版が改版も含めると、68刷となる。日本がまだ戦後といわれる貧しいころ、この本が、作家、伊藤整により翻訳され、多くの子どもたちや、大人にも読まれたかと思うと感慨深いものがある。どんな厳しい境遇にあっても毅然として生きるセアラの姿にどんなにか励まされたかと思う。すっかり物語に惹き込まれたが、「秘密の花園」の方が好み。2021/07/18
いりあ
27
"秘密の花園"などでも知られるアメリカの小説家、Frances Hodgson Burnettが1888年に発表した児童文学作品です。ある年齢以上の人は、1985年に放送されたアニメ"ハウス世界名作劇場 小公女セーラ"の印象が強いかもしれないですね。私もアニメを観ていましたし、原作、アニメともに大好きな作品です。児童文学とは言いながら、大人になってしまった今でも色々な物事に対するサアラの考え方は見習いたいですね。そして、ミンチン先生みたいにはならないように注意しないと。2014/11/10
ちゃちゃ
23
何度目の再読だろう・・・。落ち込むたび,気が滅入るたび読み返してきました。人間の「想う力(思う力」というのはとても大きいのだと思います。そして,人間はどんな時でも誇りと思いやりを忘れてはいけない。私も,公女さまとは言わない(言えない)けれど,しっかり自分の姿を想い描きながら真っ直ぐ生きていきたいです。理不尽な暴力に負けてはいけないのだ!「兵隊さんは,不平なんか言わないのよ」(←なんて健気なんだ)ぼくらも闘っていく!2011/03/14
しーふぉ
20
落差の大きさがこの物語の魅力。辛く当たっていた人に懲らしめる部分がもっとあると自分はスカッとするのだけど、公女さんはそんなことを望まないのだろうな。2015/10/31