感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こーた
227
原題は”The Bourne Identity”。大好きな映画だ。読んでいるとどうしてもマット・デイモンの顔がちらつくが、どうも映画とはずいぶんちがう。記憶喪失の〈私〉は何者なのか。相手もその正体をよくは知らない。だから話は噛み合わず、ずっと靄のかかったようなやりとりがつづく。これはスパイエンタメ小説というより、謎のシステムの周縁をウロウロする類の小説なのかもしれない。たとえばカフカ『城』のように。自分という最大の謎。記憶があったところで、自分のことは自分がいちばんよくわからない。さて下巻へ。2021/07/29
absinthe
136
映画はかなりアクション偏重だったが、原作では行動がより慎重で派手さが控えめ。記憶を失った殺し屋が主人公なのだが、自分とは何者であるのか?その秘密が国家機密レベルで管理される重要情報でもあるのだ。記憶喪失であることを隠しながら、相手に悟られないように少しずつ情報をかすめ取っていくその過程がスリリングなのだ。しかしこの女性、ずいぶんとあっさり主人公に惚れてしまう。大丈夫か?恋愛経験なさすぎ?ストックホルム症候群なのか吊り橋効果なのか。2022/06/16
ケイ
124
映画は好きで何度も見たが、それゆえにボーンの謎がわかってしまっている読書になったのが残念。彼の身体に施された事から、一緒に絶望し謎に立ち向かいたかった。ボーンの再生には様々な幸運な偶然が絡むが、ここで最も重要なのは、イギリス人の飲んだくれ医師。中盤でももっと大事にされてもいいだろうに。上巻はあまり話がすすまず、ジリジリさせる展開。わかっていても、下巻が楽しみ。2016/11/06
セウテス
89
【J・ボーン】シリーズ第1弾上巻。男は海上を漂流中、漁船に助けられる。瀕死の状態で助けられた男は銃で撃たれた傷が多数あり、頭に受けた銃弾のためか記憶を失くしていた。自分が何者かわからない、不安や恐怖、自分を探す葛藤が物語のひとつの柱であると思う。しかし、これが少々長く繰り返しが多いと思うが、アメリカ出版社会の問題だろうか。最初にテーマが決まった後、作者との間で物語の長さが契約されると聞いた事がある。正直、主人公に共感し複雑な心理の奥底を掘り起こす様な作業には、スピード感が必要不可欠であろうと思う。下巻へ。2020/05/16
NAO
77
マルセイユの海上で襲われ瀕死の重傷を負った男は、どう考えても普通ではない仕事をしていたらしい。そして、彼は、すべての記憶を失くしてしまっている。彼はいったい何者なのか。なぜ命を狙われているのか。彼に絡んでくる者たちが味方なのか敵なのか分からないまま、話は進む。下巻では、おそらく、さらなる謎と盛り上がりがあることを期待して下巻へ。2019/09/30
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