内容説明
「いい人」を自認する医師ケイティ。ふと浮気した彼女は、ふと夫に離婚を持ちかける。夫のデイヴィッドは怒れる毒舌コラムニスト。ところが離婚話を契機に、加速度的に「いい人」と化してゆく。自宅に癒し手を住まわせ、子供のおもちゃを施設に寄付し、ご近所に呼びかけてホームレスに部屋を提供する―翻弄される一家を通して現代の“善”をシニカルに問う英国No.1ベストセラー。
著者等紹介
ホーンビィ,ニック[ホーンビィ,ニック][Hornby,Nick]
1957年、イギリス生れ。教員・会社員生活を送った後、’92年、『ぼくのプレミア・ライフ』でデビュー。’95年、『ハイ・フィデリティ』で大ブレイクを果たし、全世界の注目を浴びる。’98年発表の『アバウト・ア・ボーイ』も含め、三作すべてが映画化され、2001年に発表した『いい人になる方法』も全英チャート首位を独走した。ノース・ロンドン在住
森田義信[モリタヨシノブ]
1959年、福岡生れ。大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て翻訳家・文筆家に
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感想・レビュー
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cinnamon
3
小説の中の人にツッコミを入れられないことに苛々しつつも、なんとよく描けていることだろうと思いながら読んだ。 終わりもなかなか心憎い。 本を読んだり音楽を聴くことに何の意味があるのか、ということに対する一つの答え。2012/02/11
流れる星は生きている
2
「アバウトボーイ」などのイギリス映画が好きだったので、映画化されていない本作を読んでみた。この人の小説の魅力は善人悪人で区別できない人間らしさ、あるいはポリティカルコレクトでも判断が難しい状況で右往左往する人間を描いていることにあるように思う。完璧でもない、また間違いもするけど、まっとうであろうとする人を応援しているようには感じられる。自分は正しいのか?と疑えることを大事にしたいと思いました。2024/05/30
さわたり
2
★★★★★読メのみなさん、わかってると思いますが、「方法」というタイトルでもハウツーではなく小説です。2013/05/25
かな
2
善意を振りかざして、家族の日常の平安を壊しちゃう夫が、滑稽でちょっとだけ悲しい。善意と愛情とは全くの別物だというくだりが面白かった。主人公の息子のかわいく無さ加減が笑えた。ただ、グッドニュースのもつ能力の特殊さと、主人公の夫の性格があまり一般的でないのとで、「アバウト・ア・ボーイ」ほど移入して楽しめなかった。2011/12/18
Jau
1
カーが悲しんでるじゃん!優しくない! すべての援助者に勧めたい。普段ゴミ溜めとして働いていて、「仕事がゴミ溜めなんだから、ここでもゴミ溜めていいでしょ」と言われがちな職業の全てのひとに。 「善き人」になれど、自分には「今の君では駄目だ」と言ってくる点で変わってない。その構造が上手い。 ノーベル平和賞候補者の本の「善を振り翳しても上手くいかない」の小説版のよう。 「悪い人間にならなければいい人になんかなれないような気分」 最後、ほぼ同じ場面を我が家でしたことがある。家族を象徴するのに良い形なのか。 2022/09/06