新潮文庫
アメリカン・ウォー〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 320p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784102201329
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

北部民兵による難民キャンプでの大虐殺で母親を失った傷心の一家は、故郷へと帰還するが、サラットの心だけは内戦の前線地帯でわだかまっていた。自爆テロか、弛緩した生か。しかし、ある日突然彼女はテロ容疑で戦犯収容所に拘留されてしまう。地獄のような拷問の日々。解放されるも、人格が崩壊したサラットは、ある人物のもとを訪れるのだった──。驚異の新人による問題作が緊急上陸!

内容説明

北部民兵による難民キャンプでの大虐殺で母親を失った傷心の一家は、故郷へと帰還するが、サラットの心だけは内戦の前線地帯でわだかまっていた。自爆テロか、弛緩した生か。しかし、ある日突然彼女はテロ容疑で戦犯収容所に拘留されてしまう。地獄のような拷問の日々。解放されるも、人格が崩壊したサラットは、ある人物のもとを訪れるのだった―。驚異の新人による問題作が緊急上陸!

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Willie the Wildcat

62
腐敗や分裂に翻弄され、清貧さと「報復」に揺れる心情。問いかけるのは、ベンジャミンの残した”1ページ”やベイカー兄の検問所での思い。過去の清算が、未来の扉を開く!が、サラットの心底ではなかろうか。故のベンジャミンの避難と解釈。サラットの熱き思いと対照的に、事務的な公聴会も印象的。象とロバ。大義を隠れ蓑にした利権争い。物事の勝敗や正誤ではなく、良くも悪くも”自己・利己”。但し、代償が1億人以上の命?感情論は理解も、妥当性は厳しい。因みに、温暖化進行の影響が時勢を左右するような場面となることを期待していた。2018/08/29

future4227

47
エジプト生まれのカタール育ち。16歳でカナダへ移住、その後ジャーナリストとして活躍、という異色の経歴を持つ作家が書いただけあって、宗教、人種、出身地、発音の訛りなどに敏感のようだ。アメリカを舞台としながらも、まさに現代社会の縮図のように様々な対立構造をギュッと詰め込んだ世界観の構築が見事だ。テロや戦争は何が正しいのかということよりも復讐の連鎖でしかない。主人公のような過酷な境遇にあれば、誰でもテロリストになりうるという実に示唆に富んだ小説であった。2018/01/07

ヘラジカ

32
下巻後半まで評価に困る作品だと思っていたが、最後まで読み終えて『アメリカン・ウォー』というシンプルにして大層な題名に相応しい作品だという感想を抱けた。小説としては未熟に感じてしまう部分があるにはあるが、それを覆い隠すようにリアリスティックかつ緻密な設定がこの作品をコーティングしている。先の大統領選を傍観してきた他国の者にとってすら、このフィクションが荒唐無稽どころか恐ろしく予兆的な作品であると感じずにはいられないのだから、当のアメリカ人にとっては相当センセーショナルだったに違いない。(2017・59)2017/09/03

たまきら

24
国って何だろう?そして大義って何だろう?人々が利用され、傷つけられ、歪められていき、憎しみの中ですべてを失っていく。では、無知でいることが、純粋でいることが幸せかと言えばそうでもないはず。辛いエピソードばかりが続き、どっと疲れました。最後の数行を救いと見るか、行き詰まりと見るか。自分はリセットできない時間を嘆きました。2020/12/18

RIN

21
読後も物語世界から抜け出せない。内容が衝撃的というよりも心の底の方にじわじわ浸透していった物語、という感じ。他国との戦争ももちろん悲惨ではあるものの、内戦というものの酷薄さ非情さは比べられぬほどであるのかもしれない。それだけに報復の連鎖はとどまることがないのであろうし、報復と復讐の私怨であろうと彼ら彼女ら自身にとってはそれがイコール大義や正義になる恐ろしさがある。そしてその大義や正義は他者は絶対に批判も評価もできないものとなる。何とも恐ろしい”預言の書”だった。おススメ。2018/08/21

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