内容説明
ジョン・スミスは人気者の高校教師だった。恋人のセーラとカーニバルの見物に出かけたジョンは、屋台の賭で500ドルも儲けた。なぜか,彼には当りの目が見えたのだ。愛を確認し合ったその夜、ジョンは交通事故に遭い、4年半の昏睡状態に陥った。誰も彼が意識をとり戻すとは思わなかったが、彼は奇跡の回復を遂げた。そして予知能力も身につけた。そして―、彼の悲劇が始まった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
126
事故により予知能力が覚醒した青年ジョン・スミスの、哀しき超能力者の物語。デビュー作からキングは超能力者を描いてきたが、ジョンが他の2人と大いに異なる点はその能力ゆえに人から畏怖され、往々にして関わりを持ちたくないと嫌悪の対象になることだ。人はことが事実になるまでは信じる気になれないのが世の常であり、ことが起きた後でその正しさを思い知る。従って未来を正確に予見できるジョンは常に異端者だ。ほとんどの人が死に絶えた世界を描いた『ザ・スタンド』では特殊能力者は救世主として崇められたがゆえに彼の境遇は実に皮肉だ。2017/10/29
散文の詞
115
この巻では、主人公が身につけた能力を理解し、また苦悩する姿と彼の周りの人物が淡々と描かれている感じです。 他人やその人の持ち物に触れるだけで、その人の過去や現在の様子を見ることができる。これってやっぱり苦痛なんだろうな?しかも、デッド・ゾーンという見えない部分がある。その辺りがうまいですね。 どういう理由で作者は、主人公を昏睡状態にしたのか?そこに何の意味があるのか。また、殺人鬼の話や選挙の話が挿し込まれていたりで、下巻に向けて盛り上がっていきます。 そういえば、選挙と言えば有権者と握手を…。 2020/05/22
goro@80.7
57
覚醒してからのスピード感はやっぱりキングだな。ようやく物語が動きだした。いざ下巻へ!2017/06/26
里愛乍
54
読み終えて、さあどうなるのと下巻をすでに読み出していますけれども。ひとまず上巻は顔見せで、物語の始まりといったところです。彼がこうなったいきさつ、それによる展開、授かった神の力は彼を休ませてはくれないのか。夢のような予知能力がキングの手に掛かると不幸な匂いしかしないのが彼らしく素晴らしい。読み終えたら映画も観たいと思います。2015/09/26
『よ♪』
49
再読。最も好きなS.キング作品。三人の視点で進行する。ジョン・スミス──ユーモアに富み信望厚い教師だった彼は自動車事故に遭い四年半の昏睡から奇跡的に生還する。だが脳の一部を損傷し後遺症が…。一つ目は失語症。その消えた領域を彼は"デッド・ゾーン"と呼ぶ。二つ目は代わりに動き出した領域の力。その所謂"千里眼"はジョンを更なる悲劇に…。グレグ・スティルソン──野望を持つ狂人。セールスマン、実業家、町長、議員へとのし上がっていく。その野望の先は…。そして、もうひとり──キャッスル・ロックの殺人者。彼は──。っ!?2022/09/11