内容説明
「おまえは悪魔の申し子だよ」狂信的な母、スクールカーストの最下層…悲劇はその夜、訪れた。巨匠キングの鮮烈なるデビュー作にして、三度の映画化を経た永遠の名作。
著者等紹介
キング,スティーヴン[キング,スティーヴン] [King,Stephen]
1947年メイン州生れ。貧しい少年時代から恐怖小説を好む。高校教師、ボイラーマンといった職業のかたわら執筆を続け、’74年に『キャリー』でデビュー。好評を博し、以後『呪われた町』『デッド・ゾーン』など、次々とベストセラーを生み、“モダンホラーの帝王”と呼ばれる。全米図書賞特別功労賞、O・ヘンリ賞、世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞など受賞多数
永井淳[ナガイジュン]
1935‐2009。秋田生れ。埼玉大学卒業後、編集者を経て翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Tetchy
214
モダンホラーの巨匠スティーヴン・キングのデビュー作にして幾度も映画化された有名作。単純至極なシンデレラ・ストーリーに念動能力を持つ女子高生の復讐というカタルシスとカタストロフィを混在させた物語を、事件を後追いするかのような文献や手記、関係者のインタビューなどの記録を交えて語る手法が当時は斬新で広く受けたのではないだろうか。とにもかくにも主人公キャリーの生き様の哀しさに尽きる。今では実にありふれた物語であろう。が、しかし物語にちりばめられたギミックや小道具はやはりキングのオリジナリティが見いだせる。2016/10/30
ケンイチミズバ
107
生まれたら親がカルトだった件、元首相を撃った青年の生い立ちにも思いを馳せた。思春期のモヤモヤした体の変化は罪悪。生理は穢れ。彼女は始まった時に取り乱しクラスメイトからおもちゃにされた。家では罵られ殴打された。シャワー室での騒ぎの中、廊下の照明が破裂したが誰も気付かない。母親に折檻された時は石を降らせた。ラストの辱めはエスカレートしそんなものでは済まない惨状へ。母親が厳格な宗教観念で幼い子供を縛り自由を与えない。与えるのは罰だけ。イエスは壁から見守っている。けれどその顔は石のように冷たい。誰も救えなかった。2022/09/12
ゆいまある
102
キングの衝撃のデビュー作にして出世作。今更ながら初めて読んだ。狂信的な母親に虐待を受けている宗教二世でスクールカースト最底辺のキャリー。おぞましい虐めを受け、大量の豚の血を浴びせられた結果、超能力が暴走。街を滅ぼす。ストーリーはシンプルだし話も短い。驚くのは虐められたキャリーを守ろうとする校長など、まともな人がちゃんと登場している所。どこか正義を愛するキングらしい。脇役までよく作り込まれているからこそ群像が生きてくる。改めて人を描ける人だなと思った。2024/09/12
吉田あや
82
ハイスクールでは孤立し、強固な宗教心を持つ狂信的な母に育てられた、念動能力を持つ少女キャリー。予備知識がないまま残酷な場所で遅い女性への芽生えを迎えたキャリーの鮮血と絶望と戸惑いが、じわじわと滲みだすように町中に蔓延し、卒業前の最大の楽しみプロム・ナイトで集団の悪意を合図に地獄の扉を開いていく。怖さというよりも、ゆらゆらと陽炎のように悪夢が立体となり、渇いた血の色に染まっていく景色が胸に焦げついていくようで苦しかった。2018/08/18
遥かなる想い
80
スティーブン・キングの処女作。 巻末の 解説を 読むと、一人のベストセラー作家が 誕生する ごくささいな エピソードが 書かれていて 興味深い。 私自身は、スティーブン・キングの 熱心な読者ではない、ので 他の作品と 比べることが できないが、 ・ 青春小説と ホラー小説を 上手に融合させ、読者に 飽きを もたらさない ところなどは、一種の 才能かもしれない。2004/01/01