内容説明
街にジングル・ベルのメロディーが流れ、冬休みを前に誰もがほっと息をつくクリスマスは、殺人鬼や悪霊が大活躍する季節でもあります。幼児期のサンタクロースへの恐怖を語る「煙突」、貴族の屋敷の呪われた伝説を背景に兄弟が恋敵となって争う「幻の女」、死ぬ自由を奪われた未来社会の倦怠を描く「終身刑」など聖誕祭にまつわる恐怖の数々。古今の傑作の中からアシモフ博士が精選。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
棕櫚木庵
16
クリスマスに関わる戦慄の物語13篇・・・とはいうものの,クリスマスでなくてもという話や戦慄というのは少し違うかなぁという話も(まぁ,それには拘らないけど).2,3の作品について: ギャスケル夫人の「老いたる子守の回想」は,さすが,いかにもイギリス怪談という感じで,これが一番面白かった.一方,「幻の女」(作者不詳)は,これも古典的なイギリス怪談になるのかなって読み進めたけど,なんかもう一つだった.なぜだろう.A.C.クラーク「常世の光」は,ずっと昔,別の短篇集(早川文庫?)で読んだ「星」のことだった.→2024/12/28
ハルバル
9
編者がアシモフなのでホラーだけでなくSFも収録。クリスマス関係ないじゃん!という話もあるけど、テーマ性より作品の出来を重視したそう。しかし自分の作品をアンソロジーに収録したうえに締めに使うとはアシモフってすごい自信家だな(笑)。しかもこれがベツレヘムの星にまつわる因縁を明かす、クリスマスに対する嫌がらせか?というような作品。敬虔な人は怒りそうだが、逆に神の存在証明でもあるのか?まぁ爆発も単なる偶然であって、語り手の信徒がこじつけてるだけとも言えるのだが。クリスマス気分を台無しにしたい方はぜひ、なんてね。2019/12/16
Kouro-hou
9
アシモフ編、季節行事テーマのホラーアンソロジー。「街にジングル・ベルのメロディーが流れ、冬休みを前に誰もがほっと息をつくクリスマスは、殺人鬼や悪霊が大活躍する季節でもあります」ってハロウィンの時も言ってたよーな。内容は基本ホラー集なんですけどSFもゴシックホラーも私小説もあって、クリスマスとの関連の薄い作品が多い印象です。お気に入りは面白かったけどどこにクリスマスがあったか思い出せないガチSF「ヘルハウンド・プロジェクト」、乗っ取り侵略SFなんだけど一番クリスマスがハッピーな印象な「フェイカーの惑星」。2014/12/16
MIKETOM
7
ホラー系が多いが怪奇幻想ロマンやSFなんかも。最終話『常世の光』の最後のオチと同じオチの作品を星新一が書いていた(『その夜』だったかな、よく覚えてないが)。そして星の場合、超新星爆発ではなくて憎悪の極限での戦争がもたらした光ってことでより皮肉が利いている。どっちが先なのかな。他には『フェイカーの惑星』が面白かった。ドーム基地の中で他星人により人間がじわじわと憑依されていく恐怖。それをいかに見破るか。クリスマスがそこに絡んでくる。あれ、日本だったら正月あたりが選ばれるんだろうか。なかなかいいアイデアだった。2023/08/11
kenpapa
3
クリスマス前に読まなくっちゃと急いで約30年振りに再読。ホラーからSFとまずまず面白かった。好みは「ヘルハウンド・プロジェクト」でスピーディーで分かりやすい展開がGood!戦慄はしないけどね。2020/12/15