出版社内容情報
一九四三年、専制国家と化した合衆国。ある死体の発見を機に、ひとりの警部補が恐るべき国家機密の真相に肉薄する。歴史改変巨編。
FBIと在米ドイツ領事館のゲシュタポの差し金で、身元不明の死体の捜査を阻まれたサム。危険な活動に携わってきた妻や、脱走した兄に悩まされながら、彼はなおも単身、真相を突き止めるべく賭けに出る。折しも合衆国はドイツとの平和通商条約締結に合意。両国首脳はほかならぬポーツマスで会談に臨む。警備に際してFBIとの連絡役を命じられたサムが思い知る戦慄の真実とは?
内容説明
FBIと在米ドイツ領事館のゲシュタポの差し金で、身元不明の死体の捜査を阻まれたサム。危険な活動に携わってきた妻や、脱走した兄に悩まされながら、彼はなおも単身、真相を突き止めるべく賭けに出る。折しも合衆国はドイツとの平和通商条約締結に合意。両国首脳はほかならぬポーツマスで会談に臨む。警備に際してFBIとの連絡役を命じられたサムが思い知る戦慄の真実とは。
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ミスランディア本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
45
上巻ではひたすら雰囲気を盛り上げていたのに対して、下巻では一気に事件が動き出す模様。途中事件の背景を追うシーンは一気に読まされる出来。ただアメリカ人らしく自国をディストピアにするには抵抗があるようで、アレに関しては手心を加え過ぎ。あと大詰めの条約締結やその後関係の様々も、主人公一人だけが空回りしているような。ラストもアメリカらしいといえばアメリカらしいけど……。雰囲気は良かっただけに、動き出してからがちょっと残念。同様の主題の『ファーザーランド』が最後も含めて優れていた為、どうしても対比してしまうなあ。2017/06/08
RIN
23
下巻に入って目まぐるしく展開、畳み込むように結末へなだれ込む。歴史のifで始まる物語とはいえ、現在のアメリカの状況と照らし合わせてあれこれ考えながら興味深く読んだ。サムは典型的なアメリカ人として描かれているので結末はある程度予想範囲内だったが、この続きの物語も読みたい!と思わせる筆力だ。特にアメリカ人らしい価値観と世界観、国際社会観、政治意識等々、是非他の作品も読みたい。著名な作家の別名発表らしいが、現政権批判とも思える示唆に満ちていることがその理由なのだろうか。2014/02/03
天晴草紙
6
暗く陰鬱なファシズムの世界がどこで意外な展開になり変わるのか、期待しながら読んだが歴史が大きく変わらず・・・主人公はなんでこんなに自信家なのだろう。2013/03/04
けいちゃっぷ
6
全体主義へひた走るアメリカで、ミスを犯せば自分のみならず妻子にまで累を及ぼすというのに、主人公はなぜかくも捜査を続けるのか理解し難い。 ここらへんがこの本を評価する分かれ目かも。 物語は田舎町の事件にとどまらず大きな広がりを持ちます。 クーンツの『心の昏き川』でのセリフを思い出す。 「ディックが描く未来世界こそ、われわれが現在むかっている世界なのです。ディック的世界・・・それは恐ろしい場所ですよ。そうなればなおのこと、人々にとって友人は必要不可欠の存在となります」 日本は大丈夫ですか? 415ページ 2013/02/28
Richard Thornburg
6
感想:★★★ 下巻に入ってからは主人公がいろいろなことに巻き込まれていき、話は一気に展開する。 上巻での謎も解かれて、消化不良はなくなった。 しかし最期まで重く暗い雰囲気のままだった。 結局、ゲシュタポは特に重要な役割もないまま退場・・・ 下巻に入ってからはまあまあ面白かったという程度で、『面白い!』という感じではなかった。2012/12/12