感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
クプクプ
80
地元の町のレトロな本屋さんで買いました。アポリネールは無実の罪でラ・サンテ刑務所に入り「獄中歌」という詩を作りました。「獄中歌」は読む価値があります。また女性のことを情熱的に描いた詩も楽しめました。訳者の堀口大学の解説によるとアポリネールは代表作がなく38才で亡くなったが、後の思想家には強い影響力を与えたそうです。印象的な読書体験になりました。2022/11/07
スプーン
24
堀口さんが訳したアポリネールの詩集。 詩人らしい詩が並びます。 自然、愛と孤独、異郷の地をモチーフに、想像力豊かな味わい深い詩の数々。 カバー装画はピカソ。 あの有名な「シュールレアリスム」は彼の造語らしい。2017/03/13
かふ
21
古本屋の100円本でアポリネールのことはよく知らないで訳が堀口大學だから買っていたのを台風が来ているこんな天気だしと読み始めた。最初の「動物詩集」の「オルフェさまのお供の衆」と副題が付いているのは、オルフェの楽器が亀の甲羅でそれに巻きつけられた獣の皮と牡羊の腸の弦から作られており、それを弾くと動物たちが集ってくる。その中でオルフェは歌うのだった。神に捧げる歌を。まだこの頃はアポリネールの幸福時代だったのかもしれない。動物をモチーフにしたデッサン的な韻文詩でわかりやすい。2021/07/27
壱萬参仟縁
10
「スタヴロ詩篇」の一節、「白鳥」より。 「おだやかなこの夕 ひろい湖水の白鳥を 僕らふたりは眺めてた しだれ柳は風まかせ おりしも今日の日暮れ時」(163頁)。昨日のニュースで、諏訪湖の白鳥が北に飛び立っていったという(逃避行?)。そして今日はコウノトリ一羽が撮影されていた。鶯の鳴く春はまだこれからか。それにしても今年の冬は厳し過ぎた。2013/03/15
hirayama46
7
はじめてのアポリネール。なかなか幅広い作風ながらも、全体に通底するのは恋心を積極的に表に出していく感覚でしょうか。終盤の「秘めごと歌」は直接的ですが、その他の詩でも、自らの昂ぶる心情を現しているものが少なくないように思えました。それにしても、堀口大學はどの訳も良いですね……。訳注で「虫のいどころ。訳者の反逆」と書いているのもかわいくて素敵。2019/10/18