新潮文庫
追跡する数学者

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  • サイズ 文庫判/ページ数 558p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784102176511
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

数学者フィリップのもとに、かつての恋人アーマが失踪したという知らせが届く。そして彼女が“遺贈”するという351冊の蔵書。ボルヘスやセルバンテスなどの作品は彼女自身が装丁・製本に携わり、自作も含まれている。フィリップはこれらの作品を綿密に解析し、南欧へと探索の旅に出る―。書誌学と数学を大胆に駆使し、濃密なエロティシズムで包みこんだぺダンティックな快作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちげー

21
数学の出て来るミステリーと呼べるのかな? たくさんの本の話も出て来た。 昔から知ってるドンキホーテのお話。 聞いていたのと違って、なかなか興味深く読めた。 こーゆー本もたまには面白い。2019/12/06

tom

15
書名が気になって買い、最初の数頁を読んだだけで、長い間書棚の肥やしにしていた本。主人公は保険会社の数字屋。能力はとても高い。彼のところに、突然女友達アーマから製本した300冊ほどの本が届いた。そしてアーマの失踪の連絡が入る。どうしてアーマは失踪したのか、主人公は捜索の旅に出る。旅の合間に過去が語られ、走ることと性交体験の記憶が繰り返される。カミュやセルバンテスなど名著の引用が多々。性交場面は、リアルだけどエロじゃないという不思議な記述。結局どこにたどり着いたのかも分からない。奇妙な面白さの小説。2022/12/05

kochi

15
言葉よりも数に魅入られたフィリップは、失踪した元恋人のアーマから351冊の蔵書を贈られる。製本家であり作家でもあるアーマの蔵書には、彼らがモデルの小説や、原作の意図的な改変が含まれており、フィリップはそれらのメッセージを頼りにアーマを探し始める…帯の惹句の通り扇情的な描写も多いが、それよりも本に対する溢れる愛情に魅かれる。「わたしはこの本を毎年読んでいる。…だからあなたも読めばすばらしい本だとわかるはず…それから、わたしと同じように胸が張り裂けるはず。」2015/08/13

ヴィオラ

4
一章に一回は出てくるんじゃないかって程のSEXシーンに辟易しながら、頑張って読んでいても、話が動き始めるのは半分を過ぎてからだし、数学も蔵書も特に上手い使われ方してないしなぁ…。「伝奇集」の中にまったく新しい話が一篇紛れ込んでる、とか、良い感じのところもあるんだけどね…(^_^;)で、ラスト数頁で実は再読だった事に気付く(^_^;)慌てて前回の感想を読んだら、やっぱり「面白くない」という感想で…。読むのに苦労したし、これ何て罰ゲームかと(^_^;)2012/08/18

魔魔男爵

3
題は『セクロスする天才暗算青年』とでもするのが正確。大学数学科を卒業したが、大学院では挫折して株屋になった主人公が、失踪した恋人を探す話。数学の知識は単なる比喩として使われているだけだが、πを不確定の意味でも絶対位置の意味でも使うという矛盾した比喩が同居する失敗作。主人公の天才性を描写するのに、普通人は三角形から3を連想するが、主人公は7(3角3辺1面積)と認識するというのがあるが、7に気づいても7(3角3辺1内接円)のパラメータだけで思考するファノ幾何学の話が出て来ないのは、作者の知識が古過ぎて大笑い。2017/06/13

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