出版社内容情報
「若き詩人への手紙」は、一人の青年が直面した生死、孤独、恋愛などの精神的な苦痛に対して、孤独の詩人リルケが深い共感にみちた助言を書き送ったもの。「若き女性への手紙」は、教養に富む若き女性が長い苛酷な生活に臆することなく大地を踏みしめて立つ日まで書き送った手紙の数々。その交響楽にも似た美しい人間性への共同作業は、我々にひそかな励ましと力を与えてくれる。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
115
リルケが若い詩人と女性に送った手紙が収められています。擬人化して書いたのではなく本当の返信のようですが、どのような内容でリルケに送られたのかも気になります。後世このようなかたちで発表されるとリルケは思っていなかったのでしょう。それなのにこれだけの内容の手紙を書いてくれるというのは本当に真摯な感じがします。内容的には一般の人向けにもなるような人生論のような感じで先日読んだ三木清の「人生論ノート」を思い出しました。2023/01/08
lily
89
ヤコブセン、チェック。答えを探さず問いに生きる。それが今を生きるということ。幸福への近道。愛は困難。孤独を抱きしめることを学ぶの。流動性をもった常数の排泄。2021/05/03
Gotoran
69
孤独の詩人リルケに手紙を送ってきた詩人の卵の青年と若き女性に対して返信されたリルケの言葉。不安や悲しみ、憂鬱、一生つき纏うに違いない感情、それらに悩まされたとき、外ではなく内に問い掛けるよう、リルケは、困難を耐え忍ぶこと、孤独な時間が必要なことを優しく諭す。何回か読み直して言葉を自分なりに嚙み砕いて理解するように努力すると自ずと大切なメッセージが数多く散りばめられていることに気付かされる。折に触れて繰り返し何度でも読み続けてゆきたいと思わせてくれた。 2021/03/23
aika
52
自分のことをこんなにも思ってくれる人がいる。心からの愛情にあふれた手紙を受け取った人は、それだけできっと幸せだと思います。勤めながらも夢を諦めきれず詩を書いている青年と、ひとりで子供を育てている若い女性、それぞれの抱える悩みに対して、魂を以て向き合うリルケの人格の奥深さに感嘆です。大きな悲しみの只中にあったとしても、それは驚くに値せず、「生はあなたを忘れなかったのだ。あなたは生の手の中に、受けられているのだ。」と綴る、忍耐と孤独の人生を送ることを恐れるなという詩人渾身のメッセージに勇気づけられました。2020/10/24
(haro-n)
49
「私は出来るだけあなたにお願いしたいのです。あなたの心の中の未解決のものすべてに対して忍耐を持たれることを。そうして問い自身を、例えば閉ざされた部屋のように、あるいは非常に未知な言語で書かれた書物のように、愛されることを。今すぐ答えを探さないで下さい。あなたはまだそれを自ら生きておいでにならないのだから。今与えられることはないのです。すべてを生きるということこそ、しかし大切なのです。今はあなたは問いを生きて下さい。そうすればおそらくあなたは次第に、それと気づくことなく、ある遙かな日に、答えの中へ生きて2017/06/15