内容説明
「とうとうやった!」兄に向かって叫んだ彼は意識を失った。謎の古代文字、ヒエログリフ解説の瞬間だった―。18世紀末、ナポレオンのエジプト遠征が持ち帰った碑石ロゼッタストーンは解読競争を過熱させた。源流は漢字だ、などの珍説奇説や政変、窮乏のなか、真実に近づく若きシャンポリオンに英国のライバルが迫る…。異能の天才学者と、失われた文字を巡る興奮の歴史ドラマ。
目次
時間の起源
第1章 エジプトの大地
第2章 生徒
第3章 大都会
第4章 教師
第5章 医者
第6章 クレオパトラ
第7章 王の知人
第8章 秘密を解いた者
第9章 翻訳者
第10章 言葉と文字を与えし者
著者等紹介
アドキンズ,レスリー[アドキンズ,レスリー][Adkins,Lesley]
イギリス在住の考古学者。レスリーはブリストル大学で考古学、古代史、ラテン語の学位を取得。卒業後、ヨーロッパや中東各地で数々の古代遺跡発掘に従事。研究を続ける傍ら、精力的に執筆活動も行っている
アドキンズ,ロイ[アドキンズ,ロイ][Adkins,Roy]
カーディフ大学で考古学を専攻。卒業後、ヨーロッパや中東各地で数々の古代遺跡発掘に従事。研究を続ける傍ら、精力的に執筆活動も行っている
木原武一[キハラブイチ]
文筆家。1941年東京生れ。東京大学文学部ドイツ文学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まーくん
91
古代エジプトの絵文字、ヒエログリフ。古代エジプト文明を築いたエジプト人がギリシア文字を使うようになると忘れ去られ、解読できる者もいなり、17世紀以降に欧州の学者が解読に取り組み始めたが、全く歯が立たなかった。ヒエログリフ解読を飛躍的に進展させたのは、ナポレオンのエジプト遠征中の1799年、ナイル河口のロゼッタで発見された、いわゆる『ロゼッタストーン」。上段にヒエログリフ、中段に未知の文字(後にデモティックと呼ばれるヒエログリフから生まれた筆記体文字が変化したもの)、下段にギリシア文字が記されていた。⇒2023/02/13
棕櫚木庵
18
1/4) 読メで教えてもらった本(ありがとうございました).Th.ヤングの名前も見えたので図書館で借りた.▼「まったく新しい文明の発見」(p.310)という衝撃を与えたヒエログリフ解読の物語.ただし,ロゼッタストーン解読の話はごく一部.基本はシャンポリオンの物語.そして,原題(The keys of Egypt: the race to read the hieroglyhs)の通り,ヒエログリフ解読競争の話でもあった.また,訳者が指摘する通り,19世紀前後のフランスの「歴史物語」でもあり,2024/08/23
ヴェルナーの日記
14
「兵士諸君!あの遺跡の頂から40世紀の歴史が諸君を見下ろしている」と言うナポレオンの言葉で有名なエジプト遠征でフランスへ持ち帰ったロゼッタストーンの解読という歴史的偉業を果たしたジャン=フランンスワ・シャンポリオンの血と汗と不屈の闘志を描いた1冊である。フランス革命に始まる国内の動乱に遭って、病弱なシャンポリンが天賦の才ともいえる言葉に対する執念が、決して有利と得ない状況下にあって、他の競争者を圧してヒエログリフ解読を呼び込んだ彼の熱き情熱の生涯が語られている。2013/09/01
Satoshi
13
ロゼッタストーン解読というより、シャンポリオンの伝記に近い。ヒロエグリフ解読について、私の理解不足が解消され、勉強になった。ロゼッタストーンがヒロエグリフ解読の決定的なキーになったわけではないのですね。言語学的な記載は少なく、激動の時代にヒロエグリフ解読に生涯を捧げたワーカホリックなシャンポリオンの魅力は伝わった。2022/05/30
還暦院erk
13
旦那の蔵書。シャンポリオンとその周辺の方々の濃~いやりとりに目を見張った。シャンポさんは天才というより「エネルギー量がとてつもない、まっしぐらなワーカホリック」という印象。前に読んだシュリーマンさんより世渡りは危なっかしくて、兄の献身があってホントに良かったよなぁと思った。それにつけても、ナポレオン…エジプトのあんな遠い所まで遠征してたのね知らなかった。この人の人生も濃いよねぇ。2019/06/29