内容説明
頂点を極めたカポーティの人生は順風満帆に見えた。しかし野心作『叶えられた祈り』を書き上げる重圧に苦しみ、多くの友人を失うことになる事件から、アルコールと薬物に溺れていく…。こんな彼の波乱にとんだ生涯を、女優ローレン・バコール、作家ノーマン・メイラーなど各界の著名人が、それぞれの視点から褒め称えたり、こきおろしたり。真のカポーティが見えてくる力作伝記。
目次
一九六六年
一九六六年十一月二十八日
幕間
一九七二‐一九七三年
一九七五年
一九七一‐一九七九年
一九七五‐一九七九年
一九七七年
一九七八年
一九七一‐一九八三年
一九八四年
一九八五年
一九九四年十月一日
幕切れ
著者等紹介
プリンプトン,ジョージ[プリンプトン,ジョージ][Plimpton,George]
1927‐2003。ハーヴァード大学卒業。文芸誌『パリス・レビュー』の初代編集長。自らプロフットボール・チームに選手として加わり、体当たりの取材で書き上げた『ペーパー・ライオン』がベストセラーとなり、体験的ジャーナリズムの旗手として活躍。そのかたわら、俳優として映画やテレビにも多く出演
野中邦子[ノナカクニコ]
東京生れ。多摩美術大学絵画科卒。出版社勤務をへてフリーランスで書籍の編集・制作にたずさわり、現在は翻訳業。おもにアート、伝記など英米ノンフィクションの翻訳に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
73
彼の絶頂だった「黒と白の舞踏会」の様子から下巻は始まる。彼が厳選した人物のみを招待し、彼らと選ばれなかった者たちそれぞれの証言。勝手に入り込んだ一般人の証言に驚く。上流階級から総スカンを食らったモデル小説、彼の転落の日々と最後と葬儀の様子。「ホモセクシャルで、アル中で、ヤク中で、天才」と本人談。正直、ジェラルド・クラークの評伝を先に読んで、こっちはもういいかと思っていたが、趣向が違い読んで損は無かった。最後の愛人の娘の証言もある。彼女は学生だったが、カポーティがモデル業を斡旋してくれたという。名著。2018/05/29
Willie the Wildcat
59
栄華と引き換えに失ったモノ。純粋さ?否定はしないが、周囲の喧騒という感。随所に見せる文才は消えずとも、”作品”に繋がらないもどかしさ。焦燥感が、文字通り心身を蝕む。様々なスキャンダル、廷闘争や葬儀など、確かに晩年の寂しさは否定しないが、氏の等身大の姿を感じるジョアンとの時間に安堵感。人生の山あり谷ありは、皆同じ。精一杯”らしさ”と威厳を保った半生であり、遺灰散布の件にも氏が喜ぶ姿が頭に浮かぶ。『叶えられた祈り』か・・・、真実や如何に。2018/01/10
meg
29
最後は儚い、なんとも言えず。でもカポーティに対する証言をたびたび読んでいると。彼は孤独であるとともに確かにうつくしい存在であったのだと思う。そして人間らしくもあったのだ。2024/09/17
高橋 橘苑
21
かつて、向田邦子さんが人気の絶頂で、飛行機事故の悲運に見舞われた事に関し、阿佐田哲也氏が何かのエッセイでこう書いていた。「博打打ちなら、絶対にあんな下手は打たない」と。(無論、ギャンブラーではない向田さんを誹謗した訳ではない)。当時、まだ20代だった自分には、その意味が理解できなかった。しかし、今なら少しはそれが解る。「冷血」の大成功により(それは人々の悲劇の物語でもある)、作家としての不動の名声を手にしたカポーティは、1966年11月28日「世紀のパーティー」と自ら銘打った「白と黒の舞踏会」を主催する。2016/03/06
ゆきえ
11
「ぼくのことを本当に愛してくれているなら、このまま行かせてくれ」。こんなことを言われたら、もう平静ではいられないよね。泣いちゃうよ。カポーティ。辛かったんだね。私も辛いから、ずっとずっと辛いから、気持ちはわかるよ。でも、子ども時代に楽しかった思い出があってよかったね。天使のようだったカポーティ。天国でも天使みたいに舞っていてくれたらいいのにね。もちろん、ジャックと一緒にね。2016/10/12