内容説明
幼いころ親の愛情に飢え、同性愛者であるがゆえに偏見に苦しんだカポーティ。しかし彼は若くして、自分は作家になると信じていた。その望みどおり彼はアメリカ文学界に彗星のごとく登場し、衝撃のデビューを果たす。独自なスタイルの作品を多く発表した後『冷血』でゆるぎない名声と莫大な富を得る。彼の数奇な生涯を、友人・愛人・ライバルが生々しく証言した聞き書きによる伝記。
目次
一九二四‐一九三一年
一九三三‐一九四四年
一九四四年‐一九四五年
一九四六年
一九四七年
一九四八年
一九四九年
一九五四年
一九五二‐一九五四年
一九五六年
幕間
一九五八年
一九五九年
一九六五年四月十四日
一九六六年一月十六日
一九六六年
一九六四年
著者等紹介
プリンプトン，ジョージ［プリンプトン，ジョージ］［Ｐｌｉｍｐｔｏｎ，Ｇｅｏｒｇｅ］
１９２７‐２００３。ハーヴァード大学卒業。文芸誌『パリス・レビュー』の初代編集長。自らプロフットボール・チームに選手として加わり、体当たりの取材で書き上げた『ペーパー・ライオン』がベストセラーとなり、体験的ジャーナリズムの旗手として活躍。そのかたわら、俳優として映画やテレビにも多く出演
野中邦子［ノナカクニコ］
東京生れ。多摩美術大学絵画科卒。出版社勤務をへてフリーランスで書籍の編集・制作にたずさわり、現在は翻訳業。おもにアート、伝記など英米ノンフィクションの翻訳に従事（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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harass
74
没後に彼を知る人の発言や記事を時代ごとに構成した本。オーラルバイオグラフィーというらしい。ジェラルド・クラークの評伝と比べると、まどろっこしさを正直感じるが彼の違う一面を感じることができる。この作家自身の過去の話は脚色が多いが、近所の人や友人知人同級生たちからみた彼の実像が伺える。退屈を嫌い甲高い声で場を楽しませ才能にあふれる彼に意気投合する者、反発するもの。彼とは正反対の愛人。「冷血」取材中の彼をみた警察関係者側からの視点などもある。2018/05/09
Willie the Wildcat
58
評伝故の”温度差”も、本著の楽しみの一つ。総じて言えるのは、人好きで話好きだが、少し淋しがり屋で自惚れ屋。時には、KKKにもイタズラ？！陶器の動物のペーパーウェイトも、人柄を反映という感。一方、仕事は負けず嫌いも手伝って、自身の哲学に徹底し拘る。代表作『ティファニーで朝食を』や『冷血』のエピソードは、興味深い。特に、『冷血』では、犯人をハーパー・リーと共に取材！故郷の隣人は、親友であり、作家仲間。特別な存在なんだろうなぁ。後半も楽しみですね。2018/01/07
高橋 橘苑
21
人はその才能に引き摺られる様にして生きてゆく。例えば、魅力あふれる自覚した佳人が、多くの視線を浴びてみたいと願う様に。本書はカポーティの故郷アラバマ州モンローヴィルから順を追って、その生涯に出会った人々の証言による伝記である。人々はカポーティという、その怪しく光る多面体の才能を、余す事なく伝えている。個人的な興味は、｢冷血｣創作に関する証言である。あの殺人事件に関して、カポーティがどう考えていたかの一端が垣間見えてくる。二人をいや悲劇にあった人達を、自身の文学的野心の生け贄にした事は、否定できないだろう。2015/11/03
二戸・カルピンチョ
20
トルーマン、少年のころは運動神経良かったんだね。ゲイで体つきが小さくて甲高い声なのに、根性が座っていて男らしい。…本当に感想が難しい本だよ。2020/09/26
fishdeleuze
4
カポーティの伝記。通常の伝記と異なり，いろいろな人のインタビューを通してホログラムのようにカポーティの人生が浮かび上がるという手法を用いている。それにしてもカポーティの文学というのは（文学というのが得てしてそういうものなのかもしれないが）カポーティの生い立ち，性癖，性格そのものと密接な関係をなしていることがわかる。カポーティの文学＝カポーティそのものといってもいいかもしれない。
