内容説明
博識で多弁で気取り屋、イギリス人でありながら大のフランス好き、独善的でどこかひょうきんな美食家、そして冷酷緻密な人殺し。プロヴァンスを旅行中の彼はある新婚夫婦を執拗に追跡している。何のために?―発表されるや、そのすさまじい博覧強記に絶賛の嵐が吹き荒れた。汁気たっぷりの料理と才気たっぷりの文章の後には、必ず死体が付いてきます。各賞を総なめの問題作。
著者等紹介
ランチェスター,ジョン[ランチェスター,ジョン][Lanchester,John]
1962年ドイツ・ハンブルク生れ。オックスフォード大卒。父親の仕事の関係で各国を転々としたのち帰英。「オブザーヴァー」紙でレストラン批評を連載するなど、記者、編集者として経験を積んだ後、’96年『最後の晩餐の作り方』でデビュー、英文学界を騒然とさせた。ウィットブレッド処女長篇小説賞、ベティー・トラスク賞、ホーソーンデン賞、ジュリア・チャイルド賞など数々の文学賞を受賞、20数か国語に翻訳された
小梨直[コナシナオ]
東京生れ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
270
本書は、著者のデビュー作にして、ウィットブレッド処女長編小説賞をはじめ数々の文学賞を受賞したらしい。300ページ超に及ぶ本文の90%以上は、季節のお料理に纏わるレシピと薀蓄。話題は縦横無尽に様々な分野を逍遥する、まさに博覧強記。そうなのだろう。お料理に関するエッセイを読むつもりで本書に向かったのなら、それもいいかもしれない。しかし、およそ物語的な興味を喚起されることもなく、それこそ「隔靴掻痒」のうちに唐突に物語は幕を閉じる。お料理本がお料理よりも好きという人以外に、はたしてこれを楽しめるものなのだろうか。2015/09/02
まふ
111
数々の文学賞を獲得したという小説とのことだが、私の口には合わなかった。全編ほとんど料理のレシピの解説で、物語という物語もなく、想定通り感動もなく終わった。もっとのめりこんで読めばきっと英国人が「面白い」と思うポイントも見つかるはずだろうが、それはいつか我が寿命が続いていれば考えようと思ったら気持がすっきりした。出てくる料理が好きであるならば少しは興味も持てたかもしれないが、私にとってはどうでも良い料理ばかりであり、取り付くシマのないままに終えてしまった。一応読んだ、ということにしておこう。G1000。2023/09/13
ケイ
104
さしずめフランス料理といったところか。テーブルにゆったりと座り、何時間もかけて食事をする。延々と続くメインは、お料理そのものよりも、食材や作り方、それらに関する様々なうん蓄である。手のかけた一皿を頂くにはさまざまなうん蓄をふくんだ会話を経なければならない。消化を助けるワインにしてもしかり。思い切り時間をかけて何皿もの料理を頂いた後は、もういろんな意味で食傷気味になる。そして少しこなれてきた時に、ハッとする事柄たち。しかし、思い返そうにも、それももう食傷というか…、もういいかという気分になった。2015/10/27
扉のこちら側
90
2016年91冊め。【119/G1000】G1000ではコメディーに分類されているせいで、作者の自伝的小説、と思ったら大間違い。ところどころの描写に違和感を覚えながら50ページ弱読んだところで、これはミステリだと気づき最初から読み直した。異常なほど饒舌な語り手の彼は、その言葉の裏に何を隠しているのか探りながら読み進める。レシピの中に紛れ込んだ真実の告白。(続2016/02/12
sin
88
だらだらと真偽の定かでない鼻持ちならない独りよがりな食の蘊蓄に、時折浸る回想の身勝手な自画自賛に紛れて、散りばめられた身近な死、証される独善的自白=作者の意図的な仕掛け…ある種イヤミス?それにしてもこれほど共感をもたらさない散文的な戯言がコメディーに分類されてガーディアンで必読小説に選ばれるのは、それ自体英国人のユーモアなのか?◆英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1000冊を読破しよう!http://bookmeter.com/c/3348782017/04/24