内容説明
英国の秘密情報部MRUに属するジャックに、奇妙な任務が下された。1970年代初頭、北アイルランドにパラシュート降下した工作員の死体を探し出し、その所持品を持ち帰れというのだ。ただし、目的はまったく明かされない。疑念を抱きながら、自前のトロール船でアイルランドへの航海に出たジャックを、何者かが銃撃してくる!冒険小説復権の鍵を握る、英国推理作家協会賞受賞作。
著者等紹介
クリード,ジョン[クリード,ジョン][Creed,John]
1961年、北アイルランドのダウン州キルキール生れ。本名のオウエン・マクナミー名義で純文学作品を書き始め、中編小説The Last of Deeds(’89)がアイリッシュ・タイムズ文学賞の最終候補となる。’90年にはアイルランド文学に授与されるマコーリー奨学金を得る。長編Resurrection Man(’94)が自身の脚本で映画化。その後、エンタテインメント作家への転向を決意し、ジョン・クリード名義で『シリウス・ファイル』を発表し、英国推理作家協会賞のイァン・フレミング・スティール・ダガー第1回受賞作に選ばれた
鎌田三平[カマタサンペイ]
1947年千葉県生れ。明治大学文学部卒業。作家、英米文学翻訳家
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感想・レビュー
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absinthe
189
謎のファイルを、アイルランドの山の上から回収させられた男の話。あか抜けたヒーローのいない冒険譚で陰謀渦巻くスパイの世界。中年の引退間際のスパイが政治的なずるい取引に巻き込まれている。イアンフレミングよりルカレに近い作風。逃げてもよかった筈の状況で、敢えて敵に立ち向かうクライマックスが凄まじい。物語の大半は洋上で、潮の香りがプンプン漂ってくる。表紙の海の絵は読んでみると作品人ぴったりだと解る。冒険小説としていつも上位にランキングされる有名作品。2020/08/23
ワッピー
34
読み友さんの感想から。北アイルランド系のエスピオナージュで、英国諜報機関の汚れ仕事専門部署に属するジャックに押し付けられた資料回収ミッション。裏切りの疑いをかけられた親友でIRAの闘士リーアムを脱出させつつ、現場に向かったジャックは首尾よく資料を回収するも、武装集団から執拗な追撃に遭い、愛船キャッスルドーンで脱出するも、さらなる追跡が続く。過去の因縁が錯綜し、ボロボロになりながら最終決戦の地へ船を駆るジャックたちの運命は?過去と現在の描写が入り組んでいてワッピーは苦戦。こらっ、黒幕、人んちの庭を荒らすな!2020/08/26
波
19
スパイアクションよりも海洋冒険の要素が強い。壊れかかった船でどこまで敵から逃れられるか。荒らしは強まるばかり。漏り始めた船底から水を汲みだすポンプ。逃げ切れるのか捕まるのか、それとも自然の猛威に負けて沈むのか?ハラハラドキドキ。これが冒険の醍醐味。2020/09/08
對馬 正晃
8
一昔前のアクション小説といえば、米ソの冷戦やSAS対IRAがメインテーマでしたが、本書は後者寄り。地味な作品かと思いきや、一難去ってまた一難的な展開で面白かったです!特に嵐の中での航海や、香港ノワール映画を思わせる銃撃シーンが秀逸!続編も楽しみですが、邦訳が少ないのが残念なところです・・・。2019/01/02
tai65
3
星5つ2019/12/14