新潮文庫
蠅の王 (改版)

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 442p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784102146019
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

未来における大戦のさなか、イギリスから疎開する少年たちの乗っていた飛行機が攻撃をうけ、南太平洋の孤島に不時着した。大人のいない世界で、彼らは隊長を選び、平和な秩序だった生活を送るが、しだいに、心に巣食う獣性にめざめ、激しい内部対立から殺伐で陰惨な闘争へと駆りたてられてゆく…。少年漂流物語の形式をとりながら、人間のあり方を鋭く追究した問題作。

著者等紹介

ゴールディング,ウィリアム[ゴールディング,ウィリアム][Golding,William]
1911‐1933。オックスフォード大学卒業後、小劇団の座付き作者兼俳優を経て海軍軍人として第2次大戦に従軍、ノルマンディー上陸作戦にも参加した。戦後、教師をしながら小説を書き始め、’54年『蠅の王』でデビュー。その反楽天的な人間像と透明な文体で一躍文壇の注目を浴びた。以後『尖塔』『通過儀礼』など倫理的・実存的な関心に貫かれた重厚な作品を発表し続けた。’83年ノーベル文学賞受賞

平井正穂[ヒライマサオ]
1911‐2005。福岡県生れ。東京帝大英文科卒業。東大名誉教授。イギリス文学に関する広汎な研究書を著している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

372
物語の前半は比較的淡々としかも理性的に進んでゆくが、後半から特に終盤への加速度は凄まじい迫力だ。群れとなって獲物を追う狩猟本能といったものは、本来的に人間に備わっているのだろうか。あるいは顔面を彩色することで、人間はかくも容易く理性を放棄して行くのだろうか。子どもだけの集団を無人島に投げ込んで試みられた実験の結果をまざまざと見せられたかのようだ。作者ゴールディングの人間認識は厳しく、そしてその本質において極めてペシミスティックだ。孤独と絶望の中で生き抜こうとするラーフに、かろうじて救いが見いだせるが。 2013/05/11

ヴェルナーの日記

364
本作の著者・ウィリアム・ゴールディングはイギリスの作家。大学を卒業して教職についていたが、1940年海軍に志願し、第二次世界大戦に従軍、戦艦ビスマルクの撃沈やノルマンディー上陸作戦にも参加している。1983年にノーベル文学賞を受賞。本書『蠅の王』は、『十五少年漂流記』を架空の未来に想定していて、無人島に遭難した少年達が様々な苦難に遭遇する。物語は、純粋で無垢な少年たちが、悪(野蛮・無秩序)に徐々に染まっていく―ー 初めは統率が取れていた少年達は、逆に無邪気であるだけにタガが外れていく状況に救いがない。2021/08/23

ehirano1

207
『悪』というものを描くために、無人島を舞台にそして子供たちをキャストにするという何ともエグイ設定を用いた強烈な話でした。子供たちの中に女の子が含まれていませんが、もし含まれていたら多分発禁モノになった可能性があると思います。2021/01/09

🐾Yoko Omoto🐾

166
戦時下、疎開目的の少年たちを乗せた飛行機が無人島に不時着。大人はいない、規律もない、そこにあるのはいつ救助が来るとも分からぬ無限の時間と美しすぎる大自然のみ。己の中の悪魔に魅入られる者、無意識ながらも理性と良識を保つべく葛藤する者、ただ追従する者。極限下に置いて徐々に歪み始める情緒未発達な少年たちの集団心理には、原始的な“獣性”が色濃く現れるが、人間に本来的に備わっている『理性』というものが如何に重要であるのかをこの作品は教えてくれる。「蝿の王」とは“七つの大罪”の中の悪魔「ベルゼブブ」のことで→2015/06/19

ちび\\\\٩( 'ω' )و ////

145
イギリスの大戦の最中、疎開する少年達が乗っていた飛行機が攻撃をうけ、南太平洋の孤島に不時着。大人のいない世界で彼等は隊長を選び、平和な秩序だった生活を送るが、しかし次第に心に巣食う獣性に目覚め、、、。飛行機から無人島に少年達だけが漂流という極めて稀な展開。悪環境で人間が獣性や狂気人へと変貌していく様は、仏法が説く三悪道、四悪趣の世界そのままだ。悪環境というのは本当に恐ろしい。気付かず、蝕み、感応、拡大。人間に内在する狂気は、年齢性別問わず誰にでもある。逆に人には慈悲心もある。人よ慈悲深くあれ!と強く願う。2018/10/18

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/575396
  • ご注意事項