内容説明
7件の複数殺人の罪で電気椅子送りが決まったドイルが、元神父のエインズリー刑事に面会を求めてきた。処刑前にどうしても告白したい、14人殺したのは事実だが、告発されたうちの1件は冤罪だ…。改めて調査を始めたエインズリーの前に、彼自身の過去にも関係のある意外な真実が姿を表した。米警察組織の内部と捜査手法を克明に描き、圧倒的な結末を用意した巨匠の作品。
著者等紹介
ヘイリー,アーサー[Hailey,Arthur]
1920年英国生れ。労働者階級に育ち新聞記者を志すが、家の事情により高校に行けず、空軍に入隊。’47年カナダに移住。編集やプロモーションの仕事をした後、’55年サスペンス・ドラマの脚本を書き成功をおさめる。広告会社経営のかたわら、テレビドラマなどの脚本を書き、’59年に処女長編『最後の診断』を発表。以後『自動車』『ニュースキャスター』などベストセラーを生み続ける
永井淳[ナガイジュン]
1935年秋田生れ。埼玉大学卒業後、編集者を経て翻訳家。J・アーチャー、A・ヘイリー、R・ダールなどの作品を多数訳している
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
goro@一箱古本市5/5
42
これは秀逸でした。読んだ中では警察小説のベスト10に入る出来だと思う。犯人が誰かは予想通りだったけど部長刑事エインズリーの慟哭が切ない。エインズリーが元神父で信仰を棄てた刑事だという設定もぴったり。誰が罰を下すのか、全ての人を救う事は神にも法にも出来ないんだと思わずにはいられない。アーサー・ヘイリーは昔読んだ「大空港」以来でしたが他の作品も読みたい。だけど中々手に入らないんだなぁ。2018/12/14
tom
5
下巻に入ってからは、ハイテンポで話が展開する。さすがのヘイリーです。上下併せて800頁もあるのに、あっというまに読み終えてしまった。ときどきある安直刑事物とはひと味もふた味も違う警察小説でした。主人公が元神学学校を卒業した比較宗教学者だったという設定もユニークだし、これがストーリーに厚みを加えている。翻訳も良品。訳者の永井淳に感謝。この人の翻訳は、いつも安心して手に取ることができます。2012/12/27
tai65
4
星5つ2018/02/01
きりぱい
4
『ホテル』と全然感じが違うので一瞬同姓同名の別の作家かと思ってしまった。猟奇殺人事件を追うサスペンス。サイコな犯人を追いつめるとか犯人が意外だとか派手な仕掛けはないのに読ませる。元神父で刑事という設定がよかった。それを活かした展開とエピローグもなかなかいい。2015/12/15
朱音
1
連続殺人事件の犯人が死刑執行直前に彼を逮捕した刑事にだけ言いたいことがある…見た事のあるような設定で、また冤罪モノなのかと思ったがそこはそう単純ではない。途中から真犯人はだんだんわかってしまうわけだけれど、それがわかってもなお読ませる力があるのはさすがだと思う。2004/05/07