内容説明
打ち捨てられたネイティヴ・アメリカンのコミュニティ。貧窮の極にある家族や仲間のために、ラファエルはある仕事を選んだ。スナッフ・ムーヴィーに主演すること。それは一時間にわたって身体を切り刻まれ、殺される模様を撮影させることを意味した―。『殺人方程式』などでMWA賞を2回受賞した名手が問う、真の愛と勇気。ジョニー・デップに初のメガホンを取らせた問題の原作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
honyomuhito
65
おぞましさと美しさで、トラウマになるような読書をしてしまった。ネイティブアメリカンの青年、ラファエルはある仕事をすることにした。それはスナッフムーヴィーと呼ばれる、人が惨殺される映画に出演すること。序盤のおぞましさと、中盤以降のラファエルの家族を思う純粋な心の美しさが、互いに引き立てあい、より残酷さを際立たせる。こんなに恐ろしくて美しい本を教えてくれてどうしてくれるんだ、平山夢明。心がえぐれて傷跡が残った。多分、ずっと忘れられない。https://chirakattahondana.com/ブレイブ/2018/08/27
GAKU
58
あの平山夢明氏が今までに何百回も読んだというお気に入りの作品。自身の著書で紹介されており、興味を持ち読んでみた。ネイティヴ・アメリカンの極貧のコミュニティ。そこに住むラファエルは妻や子供、仲間のためにある仕事を選ぶ。それはスナッフ・ムービーに主演し、1時間にわたって体を切り刻まれ、殺される模様を撮影される事だった。序盤はプロダクションのオーナーの、延々と、どのように痛めつけられ殺されていくのかという説明が淡々と続く。⇒2019/04/13
井戸端アンジェリか
22
せつない、せつない、やるせない。酒さえあればハッピーなゴミ溜め暮らしに、バカかと思った最初の気持ちが粉々に砕けてゴミの山で燃えカスになりました。その世界しか知らなければ幸せなんだよね、あーあ...。さり気なく優しいスーパーの女性やバスの運転手、明日からは私もそういう人になろう。そのためにも“おやじ”裏切るんじゃねえぞ。2019/06/01
harass
21
極貧生活から家族を救うため、スナッフフィルムに出演することを決意するネイティブ・インディアンの主人公の最期の数日間を描く。ジョニー・デップ主演映画も見てないけどあった。この作家がこういうのを書くのだとちょっと驚いた。
空崎紅茶美術館
9
結局、彼の命は300ドルの価値しかないのか(いや、実際はそれよりも少ない…) ラストページの「契約書」に鳥肌がたった。ひどい。弱者が踏みにじられる、この様は。無垢で無知で「いい子」は、搾取されるしかないのか。貧困を極め、学もないアルコール中毒の主人公。殺人映画に出ることを決め、その報酬で家族を幸せにしたいと願った。その愛は本物だっただろうし、死期を知ることで生を見直し、覚悟を決める姿は勇ましくさえあった。だけど、可哀想なんだ…。2012/08/09