内容説明
州に昇格して間もないワイオミングの刑務所から、3人の凶悪犯が逃亡した。しばらくして―、近くのさびれた鉱山街に、ふらりと1人の若者が現れた。陽気で働き者の彼は、なぜか時代遅れの大きな銃を大事そうに抱えていた…。伝説の覆面作家が創り出す風変わりな隔絶空間。縦横無尽の文才を駆使して語られるのは、知性なのか、狂気なのか?15年の沈黙を破った待望の新作。
著者等紹介
トレヴェニアン[トレヴェニアン][Trevanian]
伝説の覆面作家。1972年スパイアクション『アイガー・サンクション』でデビュー。続篇『ルー・サンクション』の後、警察小説『夢果つる町』冒険活劇『シブミ』、そして悲恋物語『バスク、真夏の死』と一作ごとに縦横無尽の文才を発揮、読者の熱狂的な支持を得た。元テキサス大学教授
雨沢泰[アメザワヤスシ]
1953年東京生れ。早稲田大学卒業後編集者を経て翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GaGa
49
ミステリーではなく、はたまた西部劇でもない。百年前のアメリカ、ワイオミングの小さな町で起こったドラマを劇的に描いた作品。隔絶された世界の中での支配と暴力、そして悲劇をまるで史実であるかのように綴っている。トレヴェニアンは「シブミ」以来。名作と言われる「夢果つる街」は未読。いずれ読みます。2012/03/01
goro@the_booby
43
死にかけてるような小さな街に大砲のようなショットガンを担いで来た訳ありな少年。仕事もなくその日の半端仕事で凌ぐ伝手を得た。そこへ監獄破りのならず者がやってきた。その日から街は恐怖に支配される。単純な西部劇とはならず、読むのに疲れた。そこがトレヴァニアンたるところでしょうか。リーダーというならず者が実際に居そうで怖いわ。これもリンゴ・キッド異聞といえるのかもね。2016/06/06
Dai(ダイ)
21
映像化されたものを見れば、それなりに楽しめるストーリー。しかし、翻訳者との相性が悪いのか、わざとそのようにしているのかは分からないが、登場人物のセリフ等にシラケてしまって面白味半減。クライマックスの銃撃戦(?)も全く盛り上がらなかった。しかし、最後の一行でニヤリとさせられた。2013/08/16
紅はこべ
17
原題を直訳すると、20マイルの事件。20マイルとは小説の舞台の町の名前。味も素っ気もない題だが、内容は凄まじい。訳題は大時代的だが、まさに惨劇としか呼びようがない。19世紀末に銀鉱の近くで起きた物語。2008/06/10
KAZOO
16
トレヴェニアンは「夢果つる街」を読んでいるのですが、これは若干毛色が変わっています。言葉のやり取りが多く読むのにかなり根気を要しました。話の筋としてはもう少し短くしてすっきりとしてくれたほうが読みやすく興味を引くと思います。2014/03/21