出版社内容情報
ホームズ、敵を大追跡! インド王族の秘宝をめぐり、様々な人の欲望が交錯する。シリーズを書き続けるきっかけとなった著者の意欲作。
ある日、ベーカー街を訪れた若く美しい婦人。父がインドの連隊から帰国したまま消息を断って十年になるが、この数年、きまった日に高価な真珠が送られてくるという……。ホームズ達が真珠の所有者を捜し当てた時、無限の富をもつこの男は殺され、そこには“四つの署名”が――インド王族秘蔵の宝石箱をめぐってテムズ河に繰り広げられる追跡劇! ホームズ物語の2作目にあたる長編。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
520
ホームズの第2作目。アメリカの雑誌「リピンコット・マガジン」の依頼で書かれたものらしい。そのためもあってか、第1作『緋色の研究』に比べると、随分華やかでもあり、盛りだくさんな要素に富んでいる。インドの財宝、船によるテムズ河口での追跡と冒険活劇、果てはワトソンの恋とその成就まで。ただし、ホームズものとしての味わい深さはということになれば必ずしも成功とばかりも言えないだろう。その一方で、コカインを常用するホームズの、ある種の病的な姿は、作品に暗い影を投げかけており、この一連の物語を単純な活劇には終わらせない。2015/09/29
遥かなる想い
277
久しぶりのホームズだが、安定した 面白さが素直に嬉しい。 ワトソン博士とホームズのやりとりが 定番だが、心落ち着く。インドの大反乱を ベースにしたこのミステリー、古いが 懐かしい展開だった。2017/12/03
海猫
270
前作「緋色の研究」と構成がほぼ同じではあるが、こちらはペース配分が改善され見せ場も多く進歩が感じられる。また中盤の追跡劇には読ませる迫力があった。タイトルから受ける印象と違って動的な内容。そういった意味で見どころの多い作品であったけれども、もっとも楽しんだのは、ワトスンがやたら紳士的に恋におちていく過程。2017/10/01
ehirano1
250
前半はミステリー、後半は打って変わって冒険小説。ワクワクドキドキではあるのですが、それよりもスモールという人物がとても印象に残りました。というのも、かの白人至上主義時代に有色人種を信頼し信頼され、裏切らないのはなかなかできることではないと思いました。しかも、脚を失しても腐らずに、むしろ原地人の介抱をしている。復讐は親父だけで息子にはしない。見上げた人物だと思いました。2023/07/18
Die-Go
243
一人シャーロック・ホームズ祭り第3弾。聖典2作目。再読。ホームズの推理のキレは言うまでもないのだが、この物語で楽しめたのは冒険活劇的なところ。そして、ワトソンとモースタン嬢のロマンスか。やはり聖典は面白い!★★★★☆2016/04/04