新潮文庫<br> お菓子と麦酒

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新潮文庫
お菓子と麦酒

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  • サイズ 文庫判/ページ数 279p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784102130070
  • NDC分類 933

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

314
タイトル("CAKES AND ALE")は、シェイクスピアなどにも用例が見られるらしいが、ここでの意味はよくわからない。CAKEはロウジーを、そしてALEはドリッフィールドを象徴するなど、こじつければ、いくつもの解釈ができそうではあるが。小説全体の構造は、語り手である「わたし」の回想記(主調は、やはりロウジーとの恋だろう)であり、その中にドリッフィールド(モデルはトマス・ハーディらしい)の作家的誕生と成長とを描いてゆくもの。イギリスはあらためて階級社会であったのだと、つくづくと思い知らされる小説だ。2016/07/29

Ryuko

28
やっぱりモームは面白いなあ。自分の過去を知る主人公と会ってウィンクする老大家ってすてきだ。主人公のおじの牧師、女給上がりの女性など人間の絆に出てくるキャラクターを想起させる登場人物もいるが、彼らに向ける視線が優しい。年を重ねたから??お菓子は2度目の妻で麦酒は最初の妻かと思って読み始めたがどうも違う。お菓子と麦酒で人生の楽しみ、、つまりロージーをあらわしているのかな。。2016/09/10

マッピー

17
一人称で書かれているこの小説は、語り手の少年時代に近所に住んでいた、作家とその妻との交流がその軸となっています。後年ひとかどの作家になった主人公は、時代を代表する大作家となったドリッフィールドの伝記を書くという同年代の作家に若かりし彼のことを聞かれ、あれやこれや思い出す。という話ですが、大切なのはそんなことではないのです。階級社会イギリスの、庶民ですら自分の下の者を見下げるような世間で、自由闊達であろうとするドリッフィールド夫妻の姿は、実に清々しいのです。端からどう思われても、人生楽しんだ者勝ちだよね。2023/04/05

noémi

9
主人公が愛したロウジーはどこかマリリン・モンローに似ている。優しくて、気取りがなくておおらかで。見る人をとびきり幸せにしてしまうその笑顔。だが、彼女は世間的にはとんでもない女。高名な作家の妻でありながら幾人の男性と関係を持ち、挙句の果てが破産した男と一緒にアメリカへ高飛びした。しかし、主人公のアッシェンデンには解っていた。彼女は決して皆が思うようなだらしない女、好色な女ではない。彼女は自分に正直なのだと。ある日、アッシェンデンは思いがけない再会を果たすが・・・。いつもながら作者の偽善者を暴く目は鋭い。2012/05/06

しろ

8
☆6 話としても楽しいし,語り方や文章もいい感じだったのも良かったが,文学界について書いてあったり作品のあり方などに皮肉を言ったりしてたのが印象深かった。意外と周りの男を幸せにしてしまうロウジーの存在も面白かった。2010/03/06

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