内容説明
人は女に生まれるのではない。女になるのだ―この有名な書き出しは、文明全体が個々の女性を、今あるように作り上げたのだという強力なメッセージを伝えている。すべての女性は生まれた時から(男より劣った)第二の性になるよう仕向けられ、自覚しないままそれを受け入れる。それがどのような葛藤を生み、女性を苦しめるのかが、具体的な体験を通して女性の視点から語られる。
目次
第1部 女はどう育てられるか(子ども時代;娘時代;性の入門;同性愛の女)
第2部 女が生きる状況(結婚した女)
著者等紹介
ボーヴォワール[De Beauvoir,Simone]
フランスの作家、思想家。パリの上流家庭に生れ、ソルボンヌ大学で哲学を学ぶ。女子高等中学校で教鞭をとった後、1943年、小説『招かれた女』の成功で作家生活に入る。’49年、実存主義の観点に立つ画期的な女性論『第二の性』を著し、世界的反響を呼ぶ。終生のパートナー、サルトルとともに、反戦・人権擁護の運動で精力的な言論活動を展開した。’70年以降、フランスの女性解放運動に積極的に参画、大きく貢献した。主な著作に、『他人の血』『レ・マンダラン』『老い』、自伝4部作(『娘時代』~『決算のとき』)等がある
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感想・レビュー
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まりお
39
女性の月経と性行為、結婚と初夜。その出来事は、ベールに包み隠されていた。体験したことのない者達には、自らの幻想から想うしかない。けれどたった一回で、この幻想を破壊され、恐怖とレイプを叩きつけられた女性達に待っているのは狂気だ。女性にとって大切な事を学べなかった女性達。どれだけ多くの狂気と涙と、屈辱を経て、現代まで来たか。2018/04/29
nranjen
6
図書館本。有名な「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」から始まるこの本は、人生を3つの段階に分け、女性の性的体験に関する経験的言説によって論じられている。おそらくこの本が出るまではこの女性の視点からこのような圧倒的なデータで論述されることはなかったのではないか。第二部の「女が生きる状況」では今にも通じる結婚生活のぱっとしなさが描かれている。「結婚の挫折は個人の責任ではなく、もともと歪みのある結婚制度そのものののせいだ」やはり自由への解決の鍵は女性の経済的自立なのだ。P396の自律は自立の誤植?2019/01/26
カモメ
5
女がどのように育てられていくか具体的な体験を通して語られる。女の子は自分の身体のどこにも自分を具現することはできず、埋め合わせとして人形が渡される。ペニスの欠如は汚辱と過失とに変えられ恥辱感をもつ。思春期の娘は動植物のあいだでは娘は人間であり、家族と男から解放されて自由であることから畑と森に救いを見出す。女性同性愛者を高等な女性類型だという主張に対しては男と女のリビドーを序列化するのは不合理だと批判する。2023/04/30
あきちゃん
0
思秋期の大切さをあらためて実感。今度の勉強会で使うことに。2014/06/19
ユーリ
0
この巻からは女性について書いてありました。とても詳しく書いてあるので、自分自身と周囲の女性達の謎行動の理由が手に取るように理解できました。世の中こんな便利な本があったのね。この本を読んで、改めて思春期というのは大変な時期なのだと思いました。現代でも性と個にまつわる事実とかけ離れた神話は健在なので、個人の内在の世界では、思春期の葛藤を乗り越えることは精神と肉体のサバイバルなのでしょう。これからは中二病の人にはできるだけ優しくしたいと思った。2011/10/18
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