新潮文庫<br> 夏に抱かれて

新潮文庫
夏に抱かれて

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  • サイズ 文庫判/ページ数 249p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784102118221
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

えりか

47
二人の男と一人の女。出逢ってしまったら恋に落ちないわけがない。戦争と鬱という暗闇の中で、女は愛を望んでいた。愛は心の安らぎだけでもなく、体の快楽だけでもない。自らがこの男を手に入れたいと激しく欲すること。これまで流されるように生きてきた女にとってそれは初めての欲望だった。三人の心の動きが繊細に丁寧に書かれていて、嫉妬や恥じらい、ため息や情熱、それぞれの気持ちで心が痛くなる。ラストの駆け足ですぎていく愛の日々から、その後の運命を考えると辛い。一瞬だったのかもしれないけれど、そこには幸せがあったと思いたい。2016/08/30

Y2K☮

44
舞台はドイツ占領下のフランス。ヒットラーへの嫌悪を隠さぬ筆が新鮮だがそこはサガン。アンニュイと安定のトライアングラー。田舎で享楽的に生きる実業家シャルル、ナチスに抗うレジスタンスのジェローム、時代に翻弄される中で彼の同志になったアリス。でも彼女の真の望みは祖国の自由でも肉体の快楽でもなく、誰かを本気で愛し、その人の役に立つこと。ジェロームにシャルルの様な太陽の色香が備わっていたら? いやそれだと彼の魅力である生真面目さが消えてしまう。漱石の「こころ」同様、男二人は二人で一つ。物語のその後を思うと胸が痛い。2016/08/25

わか☆

11
サガンの文章ってとってもロマンチック。揺れ動く人間の心。女心と秋の空。男2人と女1人だとそりゃ三角関係になるよね。ナチにフランスが占領されていく不穏な時代でも。アリスの心理描写が堪らない。男性のかっこいい一面ではなく、恥ずかしくてかっこ悪い一面をひどく愛したり、流されるように快楽を欲したり。いわゆる安定した恋愛を長期間出来ないであろう女性。サガンは全作品読破したい。2021/07/11

yuki

6
図書館で軽く手にした1冊でしたが…。ナチに占領される1942年のフランスを舞台にした小説です。「1942年あの年は季節までもが急速に変化した」という書き出しは最終盤で「1942年の夏はこの世でもっとも美しい季節だった」と、はかないアリスの恋が語られます。アリスに反発を抱きながら読み進めていたのですが、いつの間にかアリスに惹かれていました。2021/05/13

泉を乱す

4
ジェロームとアリスに共感した。苦しみを誰かにパスすると苦しみが解放されるの悲しい哉、そうだよねと納得。2018/07/08

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