感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
viola
8
鹿島茂の『悪女入門』でとっても気になって読んでみた本書。ナナは根は悪い人ではないし、意図して言動を起こしているわけでもないような。無意識に翻弄させちゃう感じが悪女なのか。カルメンとも、マノンとも違うファムファタル像。ナナ本人からしてみれば、本人も言うように「いい迷惑」となってしまうんでしょうねー。自分の何が男を惹きつけているのか、分かっているようで分かってないのか。何れにしても、周囲の男性は災難~・・。結末は、ある意味自業自得というか何と言うか。2011/07/28
たびちゃん
2
複数の男に囲われているよりも、現代でも言われる「太客」がメインで、たまに遊ぶ「細客」で生活を保っているナナ。天性の才能で男心を捉えて離さない。パリにも豪勢で破滅的な遊び方を"粋"としているのはビックリした。文化はやはりある程度のところへ行くと似ていくものなのだろう…。私は「結婚は永久売春契約」という表現が好きです。ナナは確かに娼婦ですが、沢山の男から求婚されます。しかし、彼女は誰のものにならないと言って、頑なに拒否します。筋を通す優しい女でした。最期は居酒屋のように哀しく終わります。2017/06/12
℃
2
始まりのナナは煌びやかな舞台からの登場でしたが、終わりは正反対の見るに堪えない姿でした。この時代の腐敗した部分を一身に引き受けたようにも感じられ象徴的でした。そしてその物語の後には戦争の影が残り、更なる混沌や悲惨が強く印象づけられました。 印象的だったのは、関わった男たちのすべてを食らい尽くして、不幸を引き起こしたナナに「それはよいことであった、正しいことであった」とする一文でした。作者がナナに対して単純な悪徳の化身のような存在として描いたのではないことを物語っているようでした。2013/11/08
tsukamg
1
ミュファ伯爵のものになったナナ。彼女と関係を持った男は皆、素寒貧にされる。男を破産させるたびに、ナナの名声は高まり、彼女は美と悪徳の象徴になる。しかし愛人の死、ショックからの失踪を経て、息子を天然痘で失うと、彼女もまた同じ病で死ぬ。町は普仏戦争開戦の興奮状態にあった。自分の名を冠した競走馬がレースに勝つ場面が爽快。彼女の人生はそこが絶頂期だったかもしれない。2017/07/09
yukinori_h
1
読み終わってみるとすごく寓話的だったなぁと思う。前半のおしゃべりや食事会がのんびりした描写だった分、ラスト数ヶ月(?)の描写の速度が印象的で迫力があった。2013/08/08
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