出版社内容情報
モンゴメリの遺作、新原稿を含む完全版が待望の邦訳。人生の光と影を深い洞察で見つめた、「アン・シリーズ」感動の最終巻。
ある日、古い教会で行われた結婚式。結婚行進曲が演奏されるなか、花嫁、花婿、ふたりの両親、友人たち……居合わせたそれぞれの想いが交錯する。そして、ブライス家に大きな影を落とした、アンの息子ウォルターの戦死。アンに似て詩の創作を愛した青年を亡くした悲しみを、残された家族はどう見つめるのか。人生の光と影を深い洞察で見据えた、「アン・シリーズ」感動の最終巻。
内容説明
ある日、古い教会で行われた結婚式。結婚行進曲が演奏されるなか、花嫁、花婿、ふたりの両親、友人たち…居合わせたそれぞれの想いが交錯する。そして、ブライス家に大きな影を落とした、アンの息子ウォルターの戦死。アンに似て詩の創作を愛した青年を亡くした悲しみを、残された家族はどう見つめるのか―。人生の光と影を深い洞察で見据えた、「アン・シリーズ」感動の最終巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
150
アンがほとんど出てきませんがアンをめぐる人々の話がつづられています。また詩なども所々に収められていていい具合です。下巻は第2部ということで第一次世界大戦後の戦間期の出来事が中心です。第二次大戦の予兆も出てきています。アンの孫に時代になるのでしょうが、最初にアンが登場してからここまでよく書き継いできたという気がします。カナダ版女の一生なのでしょう。2016/12/26
しいたけ
131
正真正銘のアン最終章。想像力が服と赤毛を身につけたような、おしゃべりで魅力的な女の子。あの日グリン・ゲイブルスを駆け回っていたアンは、息子を喪うという二度と上がってこれない沼地に身を沈めたまま。アンの周辺の微笑ましい恋のお話もあったけれど、全体のトーンはやはり底の見えない沼の中。自死に向かうモンゴメリがいた世界を垣間見る。痛くて美しい亡きウォルターの詩。シリーズの最後にこの編があってよかったのか、ない方がよかったのか。それでも私は、あってよかったと思う。息子が迎えに来るその日まで、アンは確かに生きている。2017/11/05
chiru
83
シリーズ総評❁ わたしに本の楽しさを教えてくれた『赤毛のアン』。 小3の頃、怪我で入院中にもらったのがきっかけでシリーズ10巻を退院するまで夢中で読んだ。 以来1巻は何十回も再読。他の巻は2~3回。 わたしがお気に入りのアンのセリフは『明日がまだ何ひとつ失敗をしない新しい日だと思うとうれしくない?』。 アンの、変わり者呼ばわりされても好きなものを好きという勇気、運命の分岐点で自分で選んだ道を悔いないこと、哀しみを背負っても笑顔でいることに勇気をもらって、アンの作品と出会えて本当に幸せだと思う。 ★52018/10/08
優希
76
再読です。大きな想いが交錯する中、戦争の影が見え始めるのが辛いところです。夢や憧れが遠くなり、現実が間近に感じられました。戦争という幸福を招かない題材が交わっているとはいえ、アンの世界の想い出が美しく閉ざされていく印象でした。2018/08/25
こなな
56
現代と変わらない普遍的なことも時々出てきて頷ける。アンとギルバートの最愛の子供達6人の1人ウォルターが戦死する。ウォルターは、アンのお父さんの名前だ。祖父と同じ名前のウォルターはアンと同様、想像の天才。アンの悲しみは計り知れない。アンが「あの子は戦争の記憶をもっては生きていかれなかったでしょうよ……無駄に犠牲になった多くの尊い命を目にしたのなら、そのおぞましい恐怖の記憶が脳裏に焼きついて離れなかった……」と。戦争は闇をつくる。2022/03/17