感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜長月🌙@読書会10周年
82
誰しも心の中に秘密の花園を持っています。美しい花を咲かせるにはたえず耕し、水をまき、種を植える必要があります。心を枯らしたメアリーとコリンも自ら立ち直ろうとする気持ちさえあれば助けてくれる友人、知り合いもでて来ました。彼らに命を吹き込んだのは大自然であると共に彼ら自身でもあったのです。大きな実りある未来がもう見えるかのようです。2021/08/03
Rosemary*
66
北風が荒野を駆け抜け、草木も眠る厳しい冬からキラキラと輝く陽射しとそよ風に、少しずつ春の着物をまとうように広がる芽吹きの季節。その魔法にかけられ、さらにディコンとの出会いにメアリーのコリンの我儘で頑なだった心もほぐれていくのでした。10年もの間閉ざされた花園がよみがえる様、可愛い動物たち、本当に心躍るような素晴らしい描写で私もいつしか眩く園に。児童書ですが子どもの成長に何が大切か、大人の心にも響く作品。2016/02/11
のっち♬
63
「いったい、あんたは自分が好きなのかね?」両親を亡くし、伯父に引き取られた我儘で不器量な少女が、ヨークシャーの温かな人々や豊かな自然に触れるうちに明るく快活になっていく。少年少女の荒んだ心を象徴した庭園もまた主人公。風景描写が色彩豊かで、春が訪れる場面では爽やかで瑞々しい気分に包まれる。「決して『えらくいいのもの』を信じることをやめたり、そういうもんがいっぱいある世の中を知ることをやめたりしちゃあいけねえ」少年少女たちが見せた魔法は、何の中にでもある。行動という球根を植えれば、誰にだって春は訪れるのだ。2019/02/19
いりあ
37
"小公子"や"小公女"でお馴染みのアメリカ人作家バーネットの長編小説。映画や舞台などで度々取り上げられる作品ですが、個人的には1991年にNHKで放送されていた"アニメひみつの花園"の印象が強いです。あとは子供向けに翻訳された小説は読んだことがあったかな。しかし、本当の名作というのは、大人になって読み返しても断然面白い。お話の中心となるメアリー、コリン、ディコン達が触れ合う自然の描かれ方も活き活きとしていて素晴らしい。こんなに美しい場所にいられたら、誰でも精神から健康になれますね。2014/01/10
りりす
27
タイトルの『秘密の花園』、荒野、古いお屋敷、少女は病弱な少年と出会う……と聞くと、ゴシックロマンス小説のよう。実際は健全で理想的な茶番。だって、どっちを向いてもわけ知り顔で頷いてくるんだもん(児童文学であるらしいので文句はないけど……)。ところで気になったのが、登場人物の言い回し。「言わっしゃる」は誤りのようだけど、調べたらそういう方言があるらしい。でも「ござらっしゃる」は……謙譲語と尊敬語の二重敬語なので誤りでは……?目上を主語にして「御座る」もおかしいし。こういう方言があるのでしょうか。2015/11/21