感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
61
【ガーディアン必読1000】映画にもなり作者は子供の頃から知っていたが、本作が6作目であり作者の名前を、世に知らしめた作品であると初めて知った。「怒りの葡萄」と同じく、農民の生きるための戦いや思い、素朴なヒューマニズムが当時のある一つの一場面の様に描かれている。小柄だが頭のきれるジョージと、大男で力持ちだが気が弱く知能の発達の遅れがあるレニー。二人は仲良く将来に夢を持ち農場を回って働き、お金を貯めようとしていただけだった。どうすれば、彼らに明るい未来は訪れたのか。そんな時代を、私は忘れてはならないと思う。2015/11/11
James Hayashi
27
大いなる夢を語る小男ジョージと過大なる力を持つが知能的に問題を持つ大男レニー。2人は職を求めサリナスに向かう。時代は大恐慌でありながら、2人は運良く仕事を見つけ働き出し、夢も実現化するかと思っている矢先に悲劇が起こる。短いながら凝縮された内容。時代背景や状況をよく反映している内容で胸を打つものがある。最後に老犬とレニーの姿がダブって見えたのは社会状況を踏まえた著者の見解なのかもしれない。 この版(大門訳、新訳はハツカネズミとなっている)はもう無いだろうが、あまりにも多い平仮名と少し古臭い訳が気になった。2017/05/08
riviere(りびえーる)
21
【再読】結末は悲劇的でありながら、牧歌的でピュアで崇高な薫りがする。本棚を整理していて見つけた本の再読。高校時代にクラスメートが誕生祝いにプレゼントしてくれた文庫本のようだ。中表紙に自分でそうメモってる。思い出してきた。感想が高校時代とほぼ同じな小説も珍しいけれど、世俗に汚れた自分の反省度は今の方が高いかも。2016/03/23
nana
15
Kindle:舞台を観てから読みました。切ない2018/11/22
ぽち
9
古本で、帰宅後「間違えて同じ本を2冊買ってしまった!」と思ったら旧訳と新訳だった。訳の読み比べというものはほぼしたことがないのでよい機会になった。奥付をみると初版が昭和二十八年ということで主人公の一人称が「おいら」だったり訳とは関係ないけど活字の組が一部ガタガタだったりちょっとかけてたり染みが印刷されてたりしますがそれもいい味かな。作品的には叙情性(人間性)と物語を主軸にしたものとしてはこのくらいの長さのほうがよいなと思った。ぎゅっと凝縮されていると、心に深く染みる、ような気持ちになる。2015/09/28