出版社内容情報
1930年代後半、スペイン内戦。共和国側の義勇兵であるアメリカ人ジョーダンは、山峡の橋の爆破を命ぜられる。協力するゲリラ隊には、腹の読めないパブロ、女傑ピラール、そして敵側に両親を殺された娘、マリアらがいた。無垢なマリアと恋に落ちたジョーダンだが、死を賭した作戦決行が数日後に迫っていた。内戦取材を元に、激動する運命と愛を生々しく描き切る、ヘミングウェイ畢生の大作。
アーネスト・ヘミングウェイ[アーネスト ヘミングウェイ]
著・文・その他
高見 浩[タカミ ヒロシ]
翻訳
内容説明
1930年代後半、スペイン内戦。共和国側の義勇兵であるアメリカ人ジョーダンは、山峡の橋の爆破を命ぜられる。協力するゲリラ隊には、腹の読めないパブロ、女傑ピラール、そして敵側に両親を殺された娘、マリアらがいた。無垢なマリアと恋に落ちたジョーダンだが、死を賭した作戦決行が数日後に迫っていた。内戦取材を元に、激動する運命と愛を生々しく描き切る、ヘミングウェイ畢生の大作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えりか
49
スペイン内線下、橋の爆破の任務を受けたアメリカ人のジョーダンと、彼に協力するゲリラ部隊。ジョーダンが恋におち、信頼のおける仲間を見つけた上で、この作戦の意義を自問する場面が印象的だ。過去の作戦において匿ってくれた農家は作戦後、ファシストに殺されている。共和国のために命令に従うということは、ゲリラ部隊を全滅させるかもしれないということだ。確固とした信念のあった彼の気持ちが揺らぐ場面である。またゲリラたちのそれぞれの緊迫した思いや過去の惨劇が綿密に描かれており手が震えてくる。不穏な予感を漂わせ、下巻へ。2018/05/22
yumiha
42
酷いスペイン内戦という予備知識があって、なかなか読めなかった本書。ヘミングウェイがスペインの内戦をどう見ていたのか?を知りたくて読んだ。一番心惹かれたのは、ピラール。大きくて強くて、根性も座っていて、それでいながら物事をきちんと見抜く鋭さも持ち合わせいるパルチザンの女性として描かれていたからだ。それに比べて、ヒロイン(だね?)のマリアは、捕虜として集団レイプされた過去を持っているけれども、19歳にしては幼い言動だと思った。また、パルチザンなのに「人間を殺したくない」という葛藤に悩むアンセルモにも共感した。2019/01/07
おにく
37
第二次大戦に先立つ1936年~39年に起こった"スペイン内戦"を題材に、反ファシスト側の人的支援として派遣されたロバート・ジョーダンが、現地のゲリラ兵と行動を共にする中で、この内戦の実情を知ることになります。この内戦は文字通り、国や地域の住民、家族までも分断させた不毛な争いだそうで、これまで馴染みの薄い歴史でしたが、この本で忘れえぬ事柄になりました。前編では、ゲリラ達が行ったファシスト側に対する粛清の様子が描かれ、後にその報復が行われたそうですが、それは後編で明らかになるようです。 2021/03/24
コージー
27
★★★★★1930年代のスペイン内戦が舞台。義勇兵のアメリカ人ジョーダンが、現地ゲリラ隊と協力し橋の爆破を決行する。その3日間でマリアという女性と恋をし刹那的な幸福を享受しながらも、いざ命を賭して敵と対峙する。登場人物が非常にユニークで、読者を引き込む大きな要素となっている。また、戦争という過酷な状況がリアルに描写されており、ひしひしとその緊張感が伝わってくる。人間としての弱さや欲望と葛藤しながら、正義という建前のもとに使命を全うしようとする彼らの姿は、非常に頼もしくあり、美しくもあり、悲しくもあった。2023/07/14
テツ
25
第二次世界大戦の直前、スペイン内戦を舞台に描かれる人間の姿。ヘミングウェイ自身もスペイン内戦に積極的に関わったということもあり、反ファシスト軍として戦いに突入していくロバートと彼を取り巻く戦時下の人々の生き様がヘミングウェイ特有の無駄のない研ぎ澄まされた文章で鮮やかに浮かび上がる。『善い戦争』なんて存在する訳がなく、何としてもそれだけは避けなければならない筈だということを、再読するこのタイミングで起きているロシアのウクライナ侵攻のニュースも眺めながら改めて強く感じる。2022/02/25