出版社内容情報
戦火に運命の恋が燃える。世界文学の金字塔×極上のハードボイルド。文豪ヘミングウェイ最高の達成。
二日後に迫った鉄橋爆破の任務。生還を期しがたいだけに、より激しく燃えあがるロバートとマリアの恋。生涯のすべてを投げ込むような陶酔のはてにロバートは戦いに出て行く。――戦争という巨大な運命のもとにおける悲劇的恋愛を描きながら、その悲惨さを超えて行動するロバートの姿が、信ずるもののために戦うことの尊厳を語りかけ、読む者に息づまるほどの感動を呼びおこす大作。
内容説明
二日後に迫った鉄橋爆破の任務。生還を期しがたいだけに、より激しく燃えあがるロバートとマリアの恋。生涯のすべてを投げ込むような陶酔のはてにロバートは戦いに出て行く。―戦争という巨大な運命のもとにおける悲劇的恋愛を描きながら、その悲惨さを超えて行動するロバートの姿が、信ずるもののために戦うことの尊厳を語りかけ、読む者に息づまるほどの感動を呼びおこす大作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
383
静謐な感動を持って読了。いい小説だった。小説の可能性を信じることができる1篇だ。ロバートがこのラ・グランハ近くの谷間にやってきて、マリアと邂逅し互いに愛し合い、あるいはそこでの仲間たちと連帯して戦った物語なのだが、時間にすれば3昼夜足らずの出来事だった。すなわち、それだけのわずかな時間でロバートの、マリアの人生が語れるのだ。それは、なんという凝縮された人生であったことか。また、アンセルモの徹底した誠実さ、パブロの気まぐれ、いずれもまさにスペインであり、スペイン人だと思う。ヘミングウェイによる人民戦線讃歌。2016/11/28
ケイ
133
橋に爆弾を仕掛ける準備をしながら、ジョーダンは自らに呼びかけ、自問し、己を鼓舞する。アメリカの男がそこにいる必然性や正当性を超え、陽気で狡くて気まぐれなジプシー達を愛し、憎み、自分の運命を預ける。彼が最後に見る敵は、彼が見捨てなくてはならなかった少年の頭を撃った男。仲間を見捨てながら任務を全うする厳しさを知る男達(中尉、ジョーダン、アンセルモ、カルロフら )と、共和国の意味も理解しきれぬまま戦う者達。犠牲を静観しつつ心を吐くように苦しむ者達に作者が重なる。書かれたのは、フランコ側勝利が決定的な頃だ。2018/01/25
榊原 香織
73
”どうせ死なずにすまされねえもんならーとおやじは思った(中略)わしは死ぬだけだ。だが、死ぬのはすきじゃねえ” うーん、ハードボイルド。 死の匂い、その他、匂い談義、作者、鼻が良かったか 上下巻の下(完)2021/10/29
NAO
67
上巻でアンセルモがパブロのことを「狼を必要としているときの狐のやり口」といい、自分は「やれることをする」と言っていたのが、まさにその通りとなった下巻。パブロのずるさ、非情さは戦争という場における一つの型かもしれないが、それでも胸が悪くなる。だからこそ、アンセルモやジョーダンのように虚無的になることなく「自分のやれることをする」ことの難しさ、尊さが心に深く響くのだ。2017/03/18
fseigojp
29
老人と海、日はまた昇る、武器よさらば、誰が為に鐘はなる、これが小生の評価順 極論かも知れないが、石原慎太郎は日本のヘミングウェイを目指したのでは?2015/10/23