出版社内容情報
ロチェスター氏との結婚式の日、式場では意外な真実が暴露される。不気味な女の哄笑、引き裂かれたベール……。狂った彼の妻の仕業だった。屋敷を逃げだし荒野をさ迷うジェーンは牧師の家族に救われるが、ある晩、闇の中から彼の呼ぶ声を聞く。その声に導かれて戻ったジェーンは、失明し不自由な身となった彼と再会し、結ばれる。女性のひたむきな情熱をあざやかに描いた自伝的作品。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
174
ジェーンが強く逞しく、何かに流されることなく生きていく。しかも、小さい頃には彼女自身を苦しめた自らの強情さが、彼女にしっかりとした道を選ばせることになる。女性の成長としては、革命的であったと思う。しかし、ロチェスターの嘘、そしてばれた後に懇願するときの言い訳のだらし無さが、この二人を結びつける大団円となることに反発を感じた。「財産や妻の地位のためにわたしを愛したのか、ただ私を愛してくれないのか」との詭弁に納得できず。嫌な読後とはいえ、私は醍醐味としては『嵐が丘』に軍配かな。2017/10/17
ケイ
141
再読。ジェーンの生き方が今の時代から見ても自立していて立派で共感出来るということは、当時には受け入れ難いものであったであろう。特に人目をひく容姿でなくとも、本人の生き方は外観に自ずと現れる。男の持つ条件だけでなく、自分の気持ちに正直に相手を選ぶ女性は、男性からすれば脅威であったろう。してやったわね、シャーロット!と讃えたい。綺麗事だけでない自分なりの大団円は誰でも持つことが出来ることを教えてくれる名作。2021/09/16
mukimi
120
「一生懸命生きていたら必ずいいことがある」という漠然とした信念に縋るように生きてきたが、「一生懸命に生きる」ってどういうことなのか、「いいことがある」ってどういうことなのか、ジェインがその生き様をもって教えてくれた。本当に欲しいものにちゃんと気付くこと、欲しいものは欲しいと手を伸ばすこと、その積み重ねが、暴発せんばかりだったジェインのエネルギーを愛に変えていった。丁寧に作られた贅沢なコース料理を完食し身も心も満たされたような、模範演技に拍手喝采を送りたいような、知性も情緒も豊かになる完璧な読後感。2023/06/29
はたっぴ
89
遥か昔の少女時代を懐かしく振り返り、甘酸っぱい気持ちになる作品だった。大好きだった少女アニメを観るように、頁をめくる楽しみが奪われることなく、しっかり堪能できて大満足。古典文学とは言え、人間に巻き起こる感情は古今東西を通じて変わらないものだ。容姿端麗ではないヒロインのジェーンが、自分流を貫いて社会や周囲の軋轢に立ち向かう姿勢が斬新で、我が身の不器量さを僻むことなく堂々と愛を勝ち取る姿に感じ入ってしまった。自分を見失うことなく生き抜いたジェーンの物語は、今の時代にも大きな感動を与えてくれる。【G1000】2018/04/26
mayu
81
強い意志を持って、自分の力で人生を切り開こうとするジェーン。封建的な時代において、自分の気持ちをしっかりと相手に伝え、信じる道を進むことは決して簡単ではなかっただろうと思う。ロチェスターの秘密は衝撃だったが、別々の道を選んでも強く惹かれあう互いの想い。他の名誉ある男性からの求婚や、突然に受け継がれた財産などに揺らがず、自分の気持ちに正直に、最後には本当の幸せを見つけたジェーンの姿に勇気づけられた。誰ににも、信じて進めば自分の人生を切り開く力があるはずだと教えてくれる。2022/02/17