出版社内容情報
トロイア戦争は実際にあった事に違いない。トロイアの都は、今は地中に埋もれているのだ。――少年時代にいだいた夢と信念を実現するために、シュリーマンは、まず財産作りに専念し、ついで驚異的な語学力によって十数カ国語を身につける。そして、当時は空想上の産物とされていたホメーロスの事跡を次々と発掘してゆく。考古学史上、最も劇的な成功を遂げた男の波瀾の生涯の記録。
内容説明
トロイア戦争は実際にあった事に違いない。トロイアの都は、今は地中に埋もれているのだ。―少年時代にいだいた夢と信念を実現するために、シュリーマンは、まず財産作りに専念し、ついで驚異的な語学力によって十数ヵ国語を身につける。そして、当時は空想上の産物とされていたホメーロスの事跡を次々と発掘してゆく。考古学史上、最も劇的な成功を遂げた男の波瀾の生涯の記録。
目次
少年時代と、商人としての人生行路(一八二二年‐一八六六年)
イタケー、ペロポネーソス、そしてトロイアへの最初の旅(一八六八年‐一八六九年)
トロイア(一八七一年‐一八七三年)
ミュケーナイ(一八七四年‐一八七八年)
トロイア第二、第三の発掘(一八七八年‐一八八三年)
ティーリュンス(一八八四年‐一八八五年)
晩年(一八八五年‐一八九〇年)
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マエダ
112
すばらしい一冊。金もうけというむき出しの現実主義から、つるはしとスコップでホメーロスの詩の舞台を明るみに出そうと夢求める理想主義。二つの土俵でともに成功を収めたシュリーマン。共通しているところは尋常でない情熱。2017/04/18
neimu
63
小学生の頃、考古学に興味を持った。ヘディンのように砂漠を冒険したいと思った。シュリーマンのように発掘したいと思った。ギリシア・ローマ神話を何度も読み返した。聖書の世界も好きだった。世界史を高校で習う前に、この本は世界への入り口の一つだった。実際に私がギリシアの神話の世界を目の前にしたのは21歳、トロイの遺跡の前に立ったのは読んでから更に10年後、30歳を過ぎていたけれど。そう、冬至の発掘の方法は色々問題はあったけれど、古代へのあこがれと情熱のため、商売をして生活の地盤を築き、引退後発掘生活。立派だと思う。
Tonex
43
英語学習法について、新潮文庫では「ちょっとした翻訳をすること」「毎日一回は授業を受けること」となっている部分が、岩波文庫では「決して翻訳しないこと」「毎日一時間をあてること」となっている。また、ロシア語を習得した期間について、新潮文庫では「六週間」となっているが、岩波文庫では「六か月」となっている。翻訳を鵜呑みにしてはいけない。▼シュリーマン・メソッドなどといって、シュリーマンの勉強法を英語教育に取り入れている人がいるが、どの翻訳を参考にしたかでやり方が違ってくる。2016/06/24
なる
42
かつて神話でしか語られていなかった幻の都市トロイア。それが現実に存在していたと発見したのは、幼い頃にトロイアの伝説を耳にしてからずっと憧れを抱き続けてきた一人の在野の人物だった。学者としての専門知識があるわけでもないシュリーマンが、いかにしてトロイアをはじめとした多くの遺跡を発掘したのか、その生涯と情熱が亡き後に夫人や知り合いの学者によって紹介されている。現在では発掘の成果に賛否あるようだけれど、その情熱は本物。まさに「上がり成り」(実生活で財産を持ってから夢を叶えて行くこと)を体現していて心地良い。2022/10/06
Tadashi_N
37
情熱と語学力と偏見に立ち向かうチカラと商才が、発掘を可能にした。2017/03/15