内容説明
自分を書くことはアメリカを書くことだ―本書は、アップダイク自身が新潮文庫のために14の短編を選んだ短編集。ボストンの小さな町にあるスーパーマーケットでの夏の日の出来事「A&P」、ハーヴァード大学の寮生活「キリスト教徒のルームメイトたち」、本邦初訳のベック氏の女性遍歴「オーストラリアとカナダ」、離婚歴の父娘の西部への旅「ネヴァダ」などを収録。自作解説付き。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sasa-kuma
10
アップダイク本人と翻訳者の岩元巌氏とで セレクトした14の短編。はじめにアップダイクが各作品に言葉を寄せていて、それを読んでから読み始めるとなんだか2倍楽しい気がします。宗教(キリスト教)と日常。短編なので読みやすい。長編だったら、ちょっとつらかったかも。 2020/03/30
Mark.jr
3
アップダイク自らが選んだ短編を収録した日本独自の本です。収録された作品はどれもアメリカの都市もしくは郊外の生活の中での出来事やふとよぎった感情を描いたもので、著者の長編の核とも言える部分がよく出ていると思います。アップダイクの長編が上手く読めなかったという人にこそオススメしたいです。2019/05/18
Holden Caulfield
3
「銀の都に澄んだ目を」 「孤児になったプール」 「ネヴァダ」 この手の物は大好物! 「キリスト教徒のルームメイトたち」は、 一時期 ハーヴァード大学では新入生たちにこの短編を必読すべきものとして課していた、 ウサギ四部作も機会があったら読まなくては… 2019/04/24
hirayama46
3
はじめてのジョン・アップダイク。日本で特に宗教に関わらずに生きている身としては、キリスト教的価値観がピンとこないところが多かったです。そのあたりが薄い「美術館と女たち」「ネヴァダ」が好みでした。あと、ヘンリー・ベックものはちょっとスノッブな感じがあってその辺もちょっと苦手でした……。2017/11/15
tjZero
1
アップダイクが日本の読者のために自ら選んだ14の短編集。巻頭の”はしがき”で自作の解説まで用意してくれている丁寧な著作。(P.16)「長編小説と詩のいわば中間に位置しながら、かつその両方の楽しみを私たちに与えてくれることができるのが、短編小説の魅力である」と定義する珠玉の掌編たちが、時間や地理を隔てた日本のファンたちの琴線を響かせる。2020/09/14