内容説明
離れては寄りそい、寄りそってはまた離れる男女の心の絆―時には喧嘩し、時には和解し、結婚という長い道程を二人は歩んでいく。遙かな、遠い道程―。メイプル夫妻という一組の夫婦を主人公に、新婚時代から始まって、20数年後に破局が訪れるまでの二人の心の揺れを繊細に描いた17編の短編集。著者アップダイク自身の結婚生活をもっとも忠実に反映した自伝的作品である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メセニ
11
メイプル夫妻という一組の夫婦を主人公に、アップダイクがいくつかの雑誌に書いた短編を一冊にまとめたもの。とは言え、結婚生活が崩壊しいくまでを描く17編は、ばらばらに発表されたゆえ細かな事実の齟齬はあるもの、ほとんど長編小説として読める。はしがきにもあるけど、二人はとにかくよく会話する。それは時に喧嘩でありまた和解でもあり、破局の物語のはずが快活な印象すら受けてしまう。表面的な破局の過程とは正反対に、互いに少しずつ理解を深め合うようにすら思える心の機微には、何とも皮肉めいたものを感じずにはいられなかった。2016/12/01
葛西狂蔵
4
とある夫婦の新婚時代から離婚までを描いた17篇の短篇集。長年に渡って書き継がれたらしい性質上文体や主題に一貫性が感じられないのが難点だが、纏めて読むと時代の変遷とそれによる夫婦の在り方の変化がつぶさに感じられる。よくアップダイクは高級な風俗小説作家だと云われるが、こうした書かれた時代の違う短篇を読み継ぐと、そう云われる理由も資質もよく解る。好みではないのだが、アメリカを代表する作家である事に納得。2016/08/14
バーベナ
4
結婚20年ほどの間に、子供が4人、お互いの浮気も何度も。忙しいなぁ。2016/03/03
田中
4
夫婦の心理的な微妙なあやが細かく丁寧に描写されています。そんなところではつい笑ってしまいました。お嫁さんを大事にしないといけないなぁーと読了後に反省しました。。2011/01/31
ぱらっぱ
2
米国の白ち中産階級の夫妻の出会いから離婚に至る物語。アプダイクの文章はあくまでも静かに丹念に夫婦間の心情を描く。素晴らしい小説だ。2014/01/25